朝立ちしない・弱いのはED?病院の検査は「硬さ60%が10分」、自分でできる原因の見分け方

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最近、朝立ちしなくなった。あっても前より柔らかい。朝立ちは「男の元気のバロメーター」とよく言われるので、減ってくると「EDが始まったのでは」と気になるものです。

実は、この朝立ちは医師も気にしています。日本性機能学会と日本泌尿器科学会の「ED診療ガイドライン」では、診察で聞く項目に朝立ちが入っています。しかも、聞かれるのは朝立ちがあるかないかだけではありません。そのときの硬さと、どのくらい続くかです。専門の病院には、寝ている間の勃起を一晩中測る検査があり、正常かどうかの基準も数字で決まっています。

この記事では、その基準と、自宅でできる硬さのチェック方法、朝立ちの有無から見る原因の見当のつけ方、朝立ちが減る原因、そして朝立ちが弱い人にED治療薬は効くのかを、ガイドラインと研究のデータから解説します。

目次

朝立ちとは 寝ている間に起きている勃起の「最後の1回」

朝立ちは、朝になると起きる特別な現象ではありません。仕組みを知ると、なぜ医師が朝立ちを気にするのかが見えてきます。

朝だけでなく、夜のあいだに何度も起きている

医学的には、朝立ちは「夜間勃起現象」の一部です。眠っている間には、夢を見ることの多い浅い眠り(レム睡眠)が何度か繰り返し訪れ、そのたびに性的な興奮とは関係なく勃起が起こります。エジプトの研究チームによる論文でも、夜間の勃起は年齢を問わず、レム睡眠の間に起こると紹介されています。

目覚ましで起きたときにちょうどレム睡眠だった場合、その勃起に気づきます。これが朝立ちです。つまり、朝立ちに気づかない朝があっても、夜のあいだに勃起が起きていなかったとは限りません。たまたまレム睡眠ではないタイミングで目が覚めた、ということもあります。1日なかっただけで心配する必要はありません。

寝ている間は「気持ち」が邪魔できない

夜間勃起には、もうひとつ大事な性質があります。同じ論文では、眠っている間は心理的な要因が勃起を邪魔できないと考えられている一方、血管や神経など体の要因はさまざまに影響する、と説明されています。

本番で「うまくいくだろうか」という不安があると勃起しにくくなりますが、眠っている間はその不安が働きません。そのため、夜間の勃起がしっかりしているなら、勃起する体の仕組み自体は保たれている可能性が高いと考えられます。反対に、夜間の勃起まで弱くなっているなら、体のほうに原因があるかもしれません。

では、医師はこの性質を実際の診察でどう使っているのでしょうか。

ED診療ガイドラインでは、朝立ちの「硬さと時間」を聞く

EDの診察では、まず医師が詳しく話を聞きます。ガイドラインには、その問診で何を聞いて記録するかが決められています。

問診で聞かれるのは、朝立ちの有無より「硬さと続く時間」

ED診療ガイドライン(第3版)では、病歴として「性的刺激時の勃起および早朝勃起時の陰茎硬度と持続時間」を記載するとしています。早朝勃起とは朝立ちのことです。性行為やマスターベーションのときの勃起と並べて、朝立ちの硬さと、どのくらい続いたかを聞くわけです。

受診する前に、最近の朝立ちがどのくらいの硬さで、目が覚めてからどのくらい続いたかを思い出しておくと、医師に状態を伝えやすくなります。

専門の検査の基準は「先端で硬さ60%以上が10分以上」

さらに詳しく調べる必要がある場合、性機能の専門医は、夜間の勃起を機械で測る検査(NPT検査)を行います。ガイドラインによると、通常は3晩続けて測り、少なくとも2晩は続けて行います。

使われる機械のひとつが「リジスキャン」という装置で、陰茎に輪を2つ巻いて、眠っている間の太さと硬さを記録し続けます。ガイドラインでは、陰茎の先端に近い部分で、硬さ60%以上の状態が10分以上続けば正常と判定するとしていて、心因性のEDと体に原因のあるEDを見分けるのに役立つとされています。リジスキャンは高価なため、陰茎の周りの長さがどれだけ増えたかを測るテープ状の簡易的な装置(エレクトメーター)もあります。

なお、仕事中のケガなどが原因のEDを労災として認定してもらうには、このリジスキャンによる検査が必須とされています。それだけ、夜間の勃起は体の状態を客観的に示す指標として扱われているということです。ただし、この検査は専門医が行うもので、一般的なEDの診察でいつも行うものではありません。

自宅では「勃起の硬さスケール」の4段階で見る

自宅で硬さを数字で測ることはできません。そこで使えるのが、ガイドラインに付録として載っている「勃起の硬さスケール(日本語版EHS)」です。問診で使ってもよいとされている、簡単な自己評価の方法です。

グレード硬さの状態
グレード1陰茎は大きくなるが、硬くはない
グレード2陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない
グレード3陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない
グレード4陰茎は完全に硬く、硬直している

※ED診療ガイドライン第3版 付録6より。

朝立ちと、性行為のときの勃起を、それぞれこの4段階で当てはめてみてください。朝立ちの「ある・なし」だけで考えるより、ずっと具体的に自分の状態がわかります。そして、この2つの組み合わせが、原因の見当をつける手がかりになります。

朝立ちするのに勃たない?朝立ちと本番の硬さで見る原因の見当

ここまでの仕組みを使うと、朝立ちの様子と本番の勃ち方の組み合わせから、原因のおおよその方向が見えてきます。ガイドラインでは、EDを原因によって「心因性」「器質性(体の病気や変化)」「混合性」の3つに分けています。

朝立ちはしっかりあるのに、本番で勃たない

朝立ちがグレード3〜4なのに、パートナーとのときだけ硬くならない場合は、不安や緊張、パートナーとの関係、仕事のストレスなど、気持ちの面が大きく関わっている可能性があります。マスターベーションでは問題なく硬くなるのに、相手がいると勃たない、というのも同じ考え方です。「失敗したらどうしよう」という不安が次の失敗を呼ぶ悪循環に入ることもよくあります。

気持ちの問題だから薬は関係ない、というわけではありません。ガイドラインでは、心因性のEDに対して、ED治療薬(PDE5阻害薬)だけで治療するより、心理療法と組み合わせることを強く推奨しています。薬で「うまくいった」という経験を重ねることも、悪循環から抜け出す助けになります。

朝立ちも弱い、またはなくなった

朝立ちも本番もグレード1〜2に下がっているなら、血管、神経、ホルモンなど、体のほうに原因がある可能性を考えます。代表的なのは糖尿病で、ガイドラインでは、糖尿病の人の35〜90%にEDが起こり、糖尿病ではEDが始まる時期が10〜15年早いとされています。高血圧や心臓の病気、男性ホルモンの低下、飲んでいる薬もEDの原因になります。EDが心臓の病気の前ぶれとして現れることがある点も、ガイドラインで重要視されています。

組み合わせで見る原因の早見表

朝立ち本番の勃ち方考えられる方向
しっかりある勃たない、途中で萎える不安・緊張など気持ちの面が大きい可能性
弱い、ほとんどない硬くならない血管・神経・ホルモンなど体の面が関わる可能性
弱くなってきた以前より硬さが落ちた体と気持ちの両方(混合)の可能性
ある日となかった日がある問題なく硬くなる目覚めのタイミングの違いで、多くは心配いらない

ただし、これはあくまで見当です。ガイドラインは、ほとんどの症例で原因が混ざっていることに注意すべきだとしています。体の変化で少し硬さが落ちたことがきっかけで不安が生まれ、さらに勃ちにくくなる、ということもあります。表は自分だけで結論を出すためではなく、受診のときに状況を整理して伝えるために使ってください。

朝立ちしなくなった原因 年齢・睡眠・タバコ

朝立ちが減ったと感じたときに、まず考えたい原因を3つ取り上げます。

年齢:日本は4か国で最もEDの割合が高かった

ガイドラインは、加齢をEDの最も重要なリスク要因としています。欧米7か国の50〜80歳を調べた研究(MSAM-7)では、EDの割合は50代で30.1%、60代で51.1%、70代で75.6%でした。

日本の数字はさらに気になるものです。40〜70歳の男性を4か国で比べた研究では、年齢の違いを調整したうえでのEDの割合が次のようになっていました。

国中等度ED+完全EDの割合(40〜70歳)
ブラジル15.5%
イタリア17.2%
マレーシア22.4%
日本34.5%

※ED診療ガイドライン第3版の疫学の章より。

日本では、全国100地点から無作為に選んだ2,000人を対象にした調査も行われ、中等度のEDが24.2%、完全なEDが7.2%と推計されています。朝立ちが減るのは年齢のせいだと片づけられがちですが、それは「よくあること」であっても「治療の対象にならない」という意味ではありません。

睡眠:いびきがひどい人は睡眠時無呼吸を疑う

朝立ちはレム睡眠と結びついているので、眠りの質が落ちると影響を受けます。ガイドラインでは、睡眠時無呼吸症候群の人はそうでない人に比べてEDのリスクが1.82倍という分析が紹介されています。無呼吸で眠りが乱れてレム睡眠が妨げられ、夜間の勃起も妨げられる、という説もありますが、仕組みはまだ決まっていません。

治療で改善することもあります。睡眠時無呼吸の治療に使うCPAP(寝るときに鼻から空気を送る装置)で、EDが改善する人の割合はおよそ30%とされています。注意したいのは、睡眠時無呼吸の人がED治療薬だけで治療することは推奨されていない点です。呼吸の状態や心臓への悪影響が心配されるためです。大きないびきを指摘される、日中にひどく眠い、という人は、先に睡眠時無呼吸の検査を受けることを考えてください。

タバコ:禁煙できた人は勃起機能の改善が約2倍

ガイドラインは、肥満への食事療法や運動療法、禁煙の指導を、勃起機能の改善のために強く推奨しています。中国の719人を対象にした研究では、6か月後に勃起機能が改善した人は、禁煙できたグループで53.8%、禁煙できなかったグループで28.1%でした。若い人ほど、またEDが軽いうちほど、禁煙の効果は高いと考えられています。喫煙とEDの関係は、禁煙とEDの記事で詳しく解説しています。

では、原因が何であれ、朝立ちが弱くなった人にED治療薬は効くのでしょうか。

朝立ちが弱い人に、ED治療薬は効くのか

ここで、冒頭で紹介した夜間勃起の検査データが意外なところで役に立ちます。夜間の硬さと、薬の効き方の関係を調べた研究があるのです。

夜の硬さが42.5%を下回る人は、薬が効きにくい傾向

エジプトの大学病院などでEDの患者172人の記録を振り返った研究(2018年)では、リジスキャンで夜間の勃起を測ったうえで、シルデナフィル(バイアグラの成分)が効いたかどうかを調べました。

薬が効いたのは172人中94人(54.7%)で、効いた人たちは夜間の勃起の数値がどれも高くなっていました。とくに差が大きかったのは陰茎の硬さで、硬さ42.5%を境目にすると、次のような結果でした。

測った場所薬が効いた人のうち、夜の硬さが42.5%以上だった人薬が効かなかった人のうち、夜の硬さが42.5%未満だった人
陰茎の根元70.2%85.9%
陰茎の先端59.6%92.3%

※Elhanbly SMほか, Journal of Advanced Research 2018より。

薬が効かなかった人の多くは、夜の硬さが42.5%に届いていませんでした。専門の検査で正常とされる60%と比べると、かなり低い水準です。朝立ちがほとんどない、あってもグレード1〜2という人は、薬を飲んでも期待ほど効かないことがある、と知っておくと、効かなかったときに慌てずにすみます。

それでも半分以上に効いた。まずは相談を

ただし、この研究は1つの国の患者の記録を振り返ったもので、夜間の硬さが低い人に薬が効かないと言い切れるものではありません。そもそも対象者全体では半分以上に薬が効いています。また、ED治療薬には種類があり、量の調整や飲み方の工夫で効き方が変わることもあります。

大切なのは、朝立ちが弱いことを「もう治らない」と考えないことです。朝立ちまで弱くなっているなら、その背景に糖尿病や高血圧、睡眠時無呼吸が隠れていることもあり、それを見つけるだけでも受診する意味があります。

朝立ちの悩みは何科?受診先の選び方

朝立ちの変化が続き、性行為にも影響が出ている場合は、泌尿器科が相談先です。朝立ちの硬さと続く時間、本番での勃ち方、飲んでいる薬、持病、いびきの有無をメモしておくと、話が早く進みます。糖尿病や高血圧で通院中なら、かかりつけの医師に相談するのもよい方法です。いびきや日中の眠気が強い場合は、睡眠の専門外来や呼吸器内科で睡眠時無呼吸を調べてもらいましょう。

病院に行く時間がとれない、対面で話すのは気まずい、という人は、オンライン診療でED治療薬を処方してもらう方法もあります。たとえばDMMオンラインクリニックでは診察料がかからず、国内製のシルデナフィル50mgが1錠770円からで、配送料が別に550円かかります。オンライン診療の選び方はEDのオンライン診療の記事で比較しています。硬くはなるのに途中で萎えてしまう人は、中折れの原因と対策の記事もあわせて読んでみてください。

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