中折れは薬でどこまで防げる?国内の臨床試験の数字でわかった原因と対策

※この記事は広告を含みます。掲載している料金は各院の公式サイトで確認したものです。

挿入まではうまくいったのに、途中で萎えてしまう。中折れは、勃起が「できない」のではなく「保てない」悩みです。

ED治療薬で中折れは防げるのか。防げるとしたら、どのくらいなのか。実はこの答えは、薬の添付文書や承認審査の資料に、国内の臨床試験の数字として載っています。ただ、医療者向けの資料なので、一般の人の目にはほとんど触れません。

この記事では、シルデナフィル(バイアグラ)、タダラフィル(シアリス)、バルデナフィル(レビトラ)の3つについて、国内の臨床試験で「勃起の維持」がどれだけ改善したかを資料から拾い、中折れの原因と対策を読み解いていきます。

目次

中折れとは 勃起を「維持」できない状態

中折れとは、勃起して挿入まではできたものの、性交の途中で勃起が弱まり、最後まで続けられなくなる状態です。医学的に「中折れ」という病名があるわけではありませんが、医療の世界ではEDのひとつとして扱われています。

添付文書のEDの定義に「維持」が入っている

それがはっきりわかるのが、ED治療薬の添付文書です。バイアグラの添付文書では、この薬の対象となる勃起不全を「満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者」と定めています。シアリスの資料にも、同じ言葉が使われています。

つまり、勃起そのものができない人だけでなく、勃起を維持できない人も、はじめからED治療薬の対象として想定されているということです。「最初は硬くなるから自分はEDではない」と考えている人は多いのですが、中折れをくり返しているなら、ED治療薬の対象に入ります。

臨床試験は中折れをどう測っているか

では、薬を飲むと中折れはどのくらい減るのか。それを知るには、臨床試験で「維持」をどう測っているかを先に押さえておく必要があります。使われている物差しは、主に次の2つです。

1つ目は、国際的に使われている勃起機能の質問票(IIEF)の質問4です。「ここ4週間、性交中、挿入後何回勃起を維持することができましたか?」という質問に、1〜5点で答えます。1点は「全くなし又はほとんどなし(10回中1回以下)」、3点は「時々(10回中5回)」、4点は「おおかた毎回(10回中7回程度)」、5点は「毎回又はほぼ毎回(10回中9回以上)」です。

2つ目は、性交のたびにつける日記の質問3です。「勃起は十分に持続し、性交に成功しましたか?」に「はい」か「いいえ」で答え、「はい」の割合を比べます。どちらも、まさに中折れせずに最後までできたかを尋ねる質問です。

国内の臨床試験で、中折れはどれだけ減ったか

ここからが本題です。3つの薬それぞれについて、日本人を対象にした臨床試験の結果を、公式の資料から拾いました。

シルデナフィル(バイアグラ)

バイアグラの添付文書には、国内の後期第Ⅱ相試験の結果が載っています。試験に参加した人の「勃起の維持」(IIEF質問4)の点数は、薬を飲む前は平均1.30点でした。10回のうち1回も維持できないことが多い、という状態です。

それが、薬を飲んだあとは、25mgのグループで2.97点、50mgのグループで3.53点に上がりました。点数の意味に置きかえると、「ほとんど維持できない」から「10回中5〜7回は維持できる」へ変わったことになります。偽薬(プラセボ)のグループは1.72点で、薬のグループとの差ははっきりしていました。

タダラフィル(シアリス)

シアリスのインタビューフォーム(医療者向けの詳しい資料)には、日本人343人が12週間飲んだ試験の結果が載っています。ここでは日記の質問3、つまり「最後まで持続して性交に成功した」割合が使われました。

20mgのグループでは、この割合が飲む前の18.6%から68.4%に上がりました。5回に1回も成功しなかった人たちが、3回に2回は最後までできるようになった、という計算です。10mgのグループでも17.4%から64.6%、5mgのグループでも17.4%から51.4%に上がっています。

バルデナフィル(レビトラ)

バルデナフィルは、承認申請のときの資料が公開されています。日本人を対象にした12週間の試験で、IIEF質問4の最終的な点数は、5mgで3.47点、10mgで4.15点、20mgで4.31点でした。偽薬のグループは2.31点です。

20mgの4.31点は、「おおかた毎回(10回中7回程度)」を超える水準です。なお、先発品のレビトラは製造元の供給の事情で販売が中止され、現在は国内で承認された後発品(ジェネリック)のバルデナフィルが使われています。

3つを横並びで比べてはいけない理由

ここまでの数字を並べると、次のようになります。

薬物差し偽薬のグループ薬のグループ
シルデナフィルIIEF質問4(1〜5点)1.72点25mg 2.97点、50mg 3.53点
タダラフィル日記の質問3(成功の割合)15.5%→28.6%5mg 51.4%、10mg 64.6%、20mg 68.4%
バルデナフィルIIEF質問4(1〜5点)2.31点5mg 3.47点、10mg 4.15点、20mg 4.31点

※バイアグラ添付文書、シアリスのインタビューフォーム、レビトラ承認申請資料の国内試験より。シルデナフィルの試験前の点数は1.30点、タダラフィルの薬のグループの試験前の割合は17.4〜18.6%です。

表を見ると「バルデナフィル20mgがいちばん効く」と読みたくなりますが、この表から薬の優劣は決められません。3つは別々の時期に、別々の人を対象に行われた試験で、物差しもそろっていないからです。同じ条件で直接比べた国内の試験ではないので、「どの薬がいちばん中折れに効くか」はこの数字からは言えません。

この表から確実に言えるのは、どの薬でも、中折れしていた人の多くが最後まで維持できるようになったということです。そしてもうひとつ、表をよく見ると気になる数字があります。偽薬のグループの数字です。

偽薬でも中折れは減った

偽薬には、薬の成分が入っていません。それなのに、3つの試験すべてで、偽薬のグループでも「維持」の数字が上がっていました。

プラセボ群でも「維持」が改善した

いちばんわかりやすいのがタダラフィルの試験です。偽薬のグループでも、最後まで性交に成功した割合が15.5%から28.6%へ、ほぼ2倍になっています。シルデナフィルの試験でも、偽薬のグループの点数は試験前の平均より高くなっていました。

偽薬で数字が上がるのは、「薬を飲んだから大丈夫」という安心感だけでも、勃起が保ちやすくなる人がいることを示しています。もちろん、薬のグループはそれを大きく上回っているので、薬の効果は本物です。ただ、中折れには気持ちの要素がかなり大きく関わっていることが、この数字からも読み取れます。

中折れの原因になる不安・緊張・お酒

中折れしやすい場面として多いのは、初めての相手、久しぶりの性交、コンドームをつけるタイミング、妊活中の排卵日などです。どれも「失敗できない」というプレッシャーがかかる場面です。緊張すると、勃起を保つのとは反対の方向に神経が働き、途中で萎えやすくなります。一度中折れすると、次も同じことが起きるのではという不安が生まれ、それがまた中折れを呼ぶという悪循環に入りがちです。

お酒も大きな要因です。少量なら緊張がほぐれることもありますが、飲みすぎると神経の働きが鈍り、勃起を保てなくなります。パートナーの側が「自分に魅力がないから」と悩むこともありますが、ここまで見てきたように、中折れの多くは本人の緊張や体の状態で起きるものです。責めたり急かしたりせず、挿入にこだわらない時間をつくるほうが、結果的に中折れは減りやすくなります。

朝立ちがふつうにあるなら、体の仕組みは働いていて、気持ちの要因が大きいと考えられます。朝立ちで原因を見分ける方法は、朝立ちとEDの記事で詳しく解説しています。

途中で萎えないための飲み方

薬を使っても中折れする場合、薬そのものより、飲み方に原因があることも少なくありません。添付文書と資料から、途中で効き目が切れないためのポイントを拾います。

効き始めと効いている時間

シルデナフィルとタダラフィルは、どちらも性行為の約1時間前に飲むよう添付文書に書かれています。違うのは、効いている時間の長さです。

シルデナフィルは、血液中の濃度が飲んで1時間弱で最も高くなり、半分に減るまでの時間は約3時間です。一方、タダラフィルは、海外の試験で飲んでから36時間後でも、偽薬より性交の成功率が高いことが確かめられています(偽薬32.8%に対し、20mgで61.9%)。バルデナフィルは、北米の試験で、10mgと20mgは飲んで15〜30分後から偽薬より成功率が高くなり、その差が4時間以上続いていました。

「飲んでからすぐに始めて、途中で萎えた」という場合は、効き目が十分に出る前だった可能性があります。反対に、時間がたちすぎて効き目が落ちていることもあります。自分の使い方に合う薬を、医師と相談して選ぶことが大切です。

食事で効きが落ちる薬、落ちない薬

見落とされやすいのが食事の影響です。バイアグラの添付文書によると、シルデナフィルを食後に飲むと、血液中の濃度が最も高くなるまでの時間が空腹時の1.2時間から3.0時間に延び、最高濃度は42%下がりました。ディナーのあとに飲んで、効き始める前に始めてしまうと、中折れしやすくなるということです。

タダラフィルは、食事による影響を受けないことが資料に明記されています。食事のあとに性交することが多いなら、この違いは薬を選ぶうえで大きなポイントになります。

一緒に飲めない薬

ED治療薬には、絶対に一緒に使ってはいけない薬があります。代表的なのが、狭心症などで使う硝酸剤(ニトログリセリンなど)です。一緒に使うと血圧が下がりすぎて危険なため、添付文書のいちばん最初の「警告」に書かれています。

ほかにも、飲み合わせに注意が必要な薬や、使えない持病があります。個人輸入の薬ではこうした確認ができず、偽物が混じる危険もあります。ED治療薬は、医師か薬剤師の確認を受けて使うことが前提です。

薬以外の中折れ対策と受診先

偽薬でも数字が上がった一方で、薬のグループが大きく上回ったのは、中折れの多くに体の要因も関わっているからです。

体の原因:たばこと生活習慣病

勃起を保つには、陰茎に流れ込んだ血液をとどめておく必要があります。血管が硬くなったり細くなったりすると、この働きが弱まり、途中で萎えやすくなります。たばこ、高血圧、糖尿病、脂質異常症は、どれも血管を傷める原因です。

とくにたばこは、やめることで改善が期待できる要因です。喫煙とEDの関係は禁煙とEDの記事で解説しています。健康診断で血圧や血糖値を指摘されているなら、ED治療と並行して、そちらの治療も進めることが中折れ対策にもなります。

薬局で買えるシアリスと、オンライン診療

2026年8月31日から、タダラフィル10mgのシアリスが要指導医薬品として、処方箋なしで薬局やドラッグストアで買えるようになりました。18歳以上の男性が対象で、チェックシートに答え、薬剤師から対面で説明を受けて購入します。希望小売価格は4錠入り5,808円(税込)です。

注意したいのは、薬剤師がいない時間には買えないことです。Weblioケア編集部がスギ薬局の店舗を調べたところ、117店中103店(88%)で、店の営業時間と薬剤師が対応できる時間が違っていました。また、持病がある人や処方薬を飲んでいる人は、市販品を買えないことがあります。

その場合は、泌尿器科やED治療を扱うクリニックを受診します。対面が気になるなら、オンライン診療も選べます。たとえばDMMオンラインクリニックは、診察料0円で国内製のシルデナフィル50mgを1錠770円、配送料550円で処方しています(2026年9月26日に公式サイトで確認)。クリニックごとの料金は、EDのオンライン診療の比較記事にまとめています。

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