夜中に目が覚める(中途覚醒)の治し方 国のガイドは「寝床の時間を削る」だった

※この記事は広告を含みます。掲載している料金は各院の公式サイトで確認したものです。

ふと目が覚めて時計を見ると、また夜中の2時。そこから寝つけずに朝を迎える日が続くと、「どこか悪いのでは」「もっと長く寝床にいて、少しでも眠る時間を取り戻さないと」と考えてしまうものです。

ところが、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」や日本睡眠学会のガイドラインを読むと、勧められているのは逆でした。夜中に目が覚める(中途覚醒)ことに悩んでいるなら、寝床にいる時間を増やすのではなく、むしろ削るほうが眠りの質を高めうるというのです。

この記事では、夜中に目が覚めることがどこから問題になるのか、毎日同じ時間に目が覚める理由と原因、寝床の時間を削る具体的なやり方、市販薬と睡眠薬の違い、そしてWeblioケア編集部が日本睡眠学会の認定医リストを都道府県別に数えた結果をもとに、どこに相談すればよいかまで解説します。

目次

夜中に目が覚めるのは、どこからが問題か

毎晩のように夜中に目が覚めると不安になりますが、まず知っておきたいのは、それ自体はとてもありふれた症状だということです。

成人の3割以上に不眠症状、不眠症は6〜10%

厚生労働省の研究班と日本睡眠学会がまとめた「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」によると、成人の30%以上が、寝つきの悪さ、夜中に目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚める(早朝覚醒)、ぐっすり眠った感じがしない、といった不眠症状のどれかを持っています。一方、不眠症と診断される人は6〜10%です。

つまり、夜中に目が覚める人の多くは、治療が必要な不眠症ではありません。では、その差はどこで分かれるのでしょうか。

問題になるのは「昼間に困っているか」

答えは夜ではなく昼にあります。ガイドラインに載っている不眠症の診断基準(睡眠障害国際分類)では、夜の眠りの問題に加えて、疲労感、注意力や集中力の低下、日中の眠気、気分の不調やいらいらといった日中の不調が少なくとも1つあることが条件になっています。

夜中に目が覚めても、すぐにまた眠れて、昼間は元気に過ごせているなら、それほど気にする必要はありません。反対に、目が覚めたあと眠れない日が続き、昼間の仕事や家事に支障が出ているなら、対策や受診を考えるタイミングです。

毎日同じ時間(2時・3時)に目が覚める理由と原因

毎晩ほとんど同じ時刻に目が覚めると、何か特別な理由があるのではと思いがちです。多くの場合、理由は睡眠のリズムと、そこに重なる刺激です。

睡眠のリズムに、トイレ・光・暑さ寒さが重なる

眠りは一晩じゅう同じ深さではなく、深い眠りと浅い眠りが一般に90分前後の周期でくり返され、明け方に近づくほど浅い眠りが増えていきます。毎日同じ時刻に寝ていれば、浅くなるタイミングも毎日ほぼ同じ時刻にめぐってくるので、結果として「毎日2時」「毎日3時」に目が覚めやすくなるのです。

その浅いタイミングに刺激が重なると、そのまま目が覚めてしまいます。睡眠ガイドが挙げている刺激のひとつがトイレで、日中にとった塩分の過剰な分は睡眠中に排泄されるため、夜間の排尿回数が増えます。減塩で夜間頻尿が軽くなり、夜中に目覚める回数が減ることが期待できるとされています。

もうひとつが光です。睡眠ガイドによると、寝ている間は低い照度の光でも目が覚めている時間を増やし、睡眠の効率を下げると報告されています。豆電球やテレビ、充電中の機器のランプなども見直してみてください。寝室は暑すぎず寒すぎない温度に保ち、寝具で寝床の中を快適に保つことも大切です。

寝酒・カフェイン・ストレス

寝つきをよくするつもりの寝酒は、中途覚醒の原因になります。睡眠ガイドによると、アルコールは一時的には寝つきを促進しますが、夜の後半の眠りの質は大きく悪化し、飲む量が増えるほど中途覚醒の回数が増えることが報告されています。

コーヒーやお茶、エナジードリンクなどのカフェインや、たばこのニコチンにも目を覚ます作用があります。仕事や人間関係の悩みがあると眠りが浅くなり、目が覚めたとたんに考えごとが始まって眠れなくなることもあります。睡眠薬のガイドラインも、昼間の悩みを寝床に持っていかないよう勧めています。

病気が隠れている場合

夜中に目が覚める原因に、病気が隠れていることもあります。家族にいびきや呼吸が止まっていることを指摘された(睡眠時無呼吸症候群)、トイレで何度も起きる(夜間頻尿)、胸やけで目が覚める、気分の落ち込みや何をしても楽しくない状態が続いている(うつ病)、といった場合は、眠りそのものより原因の病気の治療が先です。朝早く目が覚めてそのまま眠れないという早朝覚醒も、気分の落ち込みを伴うなら心療内科や精神科に相談してください。

病気が隠れていない、ありふれた中途覚醒なら、次に紹介する方法が役に立ちます。

中途覚醒には、寝床にいる時間を削る

夜中に目が覚めて眠れないと、「その分、早く寝床に入ろう」「朝は少しでも長く横になっていよう」と考えがちです。ところが睡眠ガイドは、これが逆効果になりうると指摘しています。

高齢者は「平均睡眠時間+30分」、8時間を超えない

睡眠ガイドの高齢者向けの推奨では、定年退職などで家で過ごす時間が増えると、必要な睡眠時間に比べて寝床にいる時間(床上時間)が長くなりすぎる傾向があるとしています。そして65歳以上では、床上時間が約8時間以上だと総死亡率が高くなることが報告されています。

そこで勧められている目安が、床上時間は「1週間の平均睡眠時間(実際に眠っている時間)+30分程度」、かつ8時間以上にならないようにすることです。長寝が習慣になっている場合は、床上時間を8時間未満に制限することが、睡眠の質を高めることに役立つ可能性があるとされています。

1週間、寝床の時間と眠った時間を分けて記録する

まずやることは、自分の睡眠を1週間記録することです。ポイントは、寝床に入っていた時間と、実際に眠っていた時間を分けて書くことです。たとえば夜10時に寝床に入って朝6時に起きても、夜中に2時間起きていたなら、寝床にいたのは8時間、眠っていたのは6時間です。この場合、目安の床上時間は6時間半ほどになります。

削るのは6時間まで、眠れなければ寝床を出る

ただし、自分で床上時間を短くするときは、6時間を限度にするよう勧められています。寝床で考えごとをするのは避け、なかなか眠れないときはいったん寝床を離れて、静かで暗めの安心できる場所で過ごし、眠気が戻ってから寝床に戻ります。時計やスマートフォンで時間を確かめるのも、焦りを生むので避けましょう。

寝床を「眠れない場所」にしないための方法で、昼間は太陽の光を浴びて体を動かし、長い昼寝は避けることも合わせて勧められています。

認知行動療法は4〜8回で中途覚醒が改善

こうした寝床の使い方や、眠りについての考え方のくせを専門家と一緒に直していく治療が、不眠症の認知行動療法です。ガイドラインは、合計4〜8回のカウンセリングで、寝つきの悪さや夜間の中途覚醒が改善することが明らかになっているとし、有効性は実証されていると結論づけています。睡眠薬を長く飲んでいる人の減薬にも役立つとされます。

なお、ガイドラインが作られた2013年時点では、不眠症の認知行動療法は保険の対象外とされていました。受けられる施設や費用は、医療機関に確認してください。

中途覚醒の薬 市販薬と睡眠薬の違い

生活を整えても眠れないとき、薬を考える人は多いと思います。ただ、市販薬と処方の睡眠薬では、対象となる人がはっきり違います。

市販のドリエルは「日常的に不眠の人」は飲めない

ドラッグストアで買える睡眠改善薬ドリエルの効能は、「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い」です。パッケージの説明には「心配ごとがあって、夜中に目が覚める」ときにも使えると書かれています。

ところが、説明書の「服用しないでください」には、「日常的に不眠の人」「不眠症の診断を受けた人」がはっきり入っています。さらに、2〜3回飲んでもよくならなければ中止して相談すること、連用しないことも求められています。毎晩のように夜中に目が覚めているなら、市販薬で様子を見る段階ではないということです。

中途覚醒には作用時間の長い薬、組み合わせは避ける

処方の睡眠薬は、効いている時間の長さで、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型に分かれます。ガイドラインでは、不眠を寝つけないタイプと、夜中や朝早くに目が覚めるタイプに分け、中途覚醒や早朝覚醒には作用時間がより長い薬を勧めています。作用時間が短い薬は夜中で効果が切れてしまい、中途覚醒には効果が不十分な場合があるためです。

寝つけないタイプの不眠で、処方薬が寝つきをどれだけ早めるかは、眠れない時の対処法の記事で添付文書の数字を紹介しています。

効かないからといって種類を増やせばよいわけではなく、ガイドラインは、睡眠薬を何種類も組み合わせるほうが有効だという根拠はないとし、特に3種類以上の併用は避けるべきだとしています。自分の目が覚めるタイミングを医師に具体的に伝えることが、薬選びの近道です。

オンライン診療の初診で出せる睡眠薬と出せない睡眠薬の違いは、不眠症のオンライン診療を比較した記事にまとめています。

サプリはガイドラインで「推奨されない」

眠りによいとうたうサプリメントは多くありますが、ガイドラインは、質の高い臨床試験で有効性が確かめられたものはごく少なく、安全性の検証もほとんど行われていないとして、不眠症の治療に使うことを推奨していません(推奨グレードC2)。試す場合も、効果が感じられなければ漫然と続けないようにしましょう。

何科に行くか 睡眠学会の専門医は全国に約690人

夜中に目が覚める悩みは、内科や心療内科、精神科でも相談できますが、睡眠の専門医に診てもらいたいという人もいるでしょう。では、その専門医はどこにどれだけいるのでしょうか。睡眠外来で何をするか、学会の認定を使った名医の探し方は、睡眠外来とは何をするところか、何科の病院へ行けばいいかをまとめた記事で解説しています。

都道府県別に見ると東京に4分の1、和歌山は0人

Weblioケア編集部で、日本睡眠学会のサイトに掲載されている医師向けの「日本睡眠学会総合専門医」と「日本睡眠学会専門医」の2つの一覧を都道府県別に数えると、国内の合計は690人でした。そのうち東京都が170人と約4分の1を占め、東京・愛知・神奈川・大阪・福岡の5都府県で376人と半数を超えます。一方、和歌山県は0人、青森・山形・島根・徳島・香川・佐賀の6県は1人でした。

都道府県総合専門医専門医合計
北海道19120
青森県101
岩手県11011
宮城県14115
秋田県819
山形県101
福島県606
茨城県505
栃木県9211
群馬県202
埼玉県22022
千葉県13114
東京都1646170
神奈川県50050
新潟県12012
富山県415
石川県12113
福井県516
山梨県404
長野県606
岐阜県10212
静岡県15015
愛知県64468
三重県718
滋賀県606
京都府13013
大阪府42345
兵庫県15015
奈良県606
和歌山県000
鳥取県909
島根県101
岡山県505
広島県617
山口県112
徳島県011
香川県101
愛媛県617
高知県202
福岡県42143
佐賀県101
長崎県819
熊本県505
大分県505
宮崎県505
鹿児島県606
沖縄県9110

※日本睡眠学会のサイトに2026年9月時点で掲載されていた「日本睡眠学会総合専門医」「日本睡眠学会専門医」の一覧をWeblioケア編集部で集計。所在地が「その他」の1人を除く。学会にはこのほかの認定区分もありますが、ここでは含めていません。所属には大学や企業なども含まれ、全員が外来で診療しているとは限りません。

一覧の所属先を見ると、睡眠の専門医は精神科・心療内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科など、もともとの専門がさまざまです。いびきや呼吸が止まることが気になるなら呼吸器内科や耳鼻咽喉科の専門医、気分の落ち込みもあるなら精神科・心療内科の専門医というように、所属先の診療科も手がかりになります。

近くにいなければ内科・心療内科、オンライン診療

専門医が近くにいない地域でも、まずはかかりつけの内科や心療内科で相談できます。受診するときは、先ほどの1週間の記録(寝床に入った時刻、眠っていた時間、目が覚めた時刻)を持っていくと、どのタイプの不眠かが伝わりやすくなります。

通院の時間がとれない人は、オンライン診療も選択肢です。一例として、DMMオンラインクリニックは不眠の相談を診察料なしで受け付けていて、睡眠薬のエスゾピクロンやデエビゴ、漢方薬を処方しています。料金はエスゾピクロン2mgが単月4,400円、デエビゴ5mgが単月8,690円(いずれも税込)で、保険が使えない自由診療です。なお、先ほどのガイドラインの一覧では、エスゾピクロンは超短時間作用型に分類されています。デエビゴは2020年に承認された薬で、2013年のこの一覧には載っていません。夜中に目が覚めるタイプだと問診で伝え、薬の選び方を医師と相談してください。いびきがひどいなど睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、検査のできる医療機関を選びましょう。

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