性感染症の症状チェック 男性・女性の初期症状を写真ではなく痛みと日数で見分ける

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監修者

松岡雄治 医師の顔写真

松岡 雄治/済生会横浜市東部病院 麻酔科

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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Weblioケア編集部が作成した本記事は、記載内容の医学的な正確性について医師の確認を受けています。監修の対象は医学的な記述であり、クリニックの料金・診療内容など編集部が公式サイトで確認した情報は監修の対象外です。本記事は特定の治療や医療機関を推奨するものではありません。診断・治療の判断は必ず医師にご相談ください。

陰部にぶつぶつができた、おしっこをすると痛い、おりものがいつもと違う。性感染症(性病)かもしれないと思ったとき、多くの人はまず症状の写真を検索します。

ところが写真を見比べても、自分の症状がどれに当てはまるのか判断するのは難しいものです。例えば、日本性感染症学会のガイドラインでも、「男性の陰部のただれ」だけで見分けるべき病気が13も挙げられています。医師でも見た目だけでは判断するわけではないのです。

そのかわりに役に立つのが、「痛いか、痛くないか」と「心当たりから何日で症状が出たか」の2つです。この2つがわかると、可能性のある性感染症はかなり絞れます。Weblioケア編集部では、厚生労働省と日本性感染症学会の資料をもとに、男性・女性それぞれの性感染症の症状をこの2つの軸で整理しました。

※一般的に『性病』と呼ばれることもありますが、医療現場や公的機関では『性感染症(STI)』と呼びます。本記事では性感染症と表記して解説します。

  • その症状は痛いか、痛くないか
  • 心当たりのある性行為から何日くらいたっているか

記事の終わりに、この2つから引ける性感染症の症状チェック表を置いています。

目次

性感染症の症状は出ないことが多く、出ても消えることがある

症状を調べる前に、知っておいてほしいことがあります。厚生労働省は、性感染症は種類によっては無症状のことも多く、すぐに症状が出なかったり軽い症状で済んだりするうえ、一度症状が出ても感染力があるまま症状が消えることもあると説明しています。そのため、感染した人が気付かないままパートナーにうつしてしまうことがあります。

つまり、症状チェックで当てはまるものがなくても、性感染症ではないとは言い切れません。

無症状の性感染症 クラミジアは男性の半数、女性の7〜8割が気付かない

  • クラミジアや淋菌、トリコモナスなどの性感染症は、「無症状」のまま経過することが非常に多いのが特徴です。
  • クラミジアは男性の半数、女性の大半が無症状で気づかないまま感染を広げることがあります。

無症状の代表がクラミジアです。クラミジア感染症は、男性の尿道炎でも症状が弱く半数が気付かないまま菌を保有し、女性では大半が自覚症状のないまま経過します。さらに、女性の淋菌感染症や腟トリコモナス症においても無症状の例が多く見られます。

性感染症の症状の強さと害は比例しない 軽いクラミジアのほうが不妊につながる

症状が強いほど重い病気、と考えがちですが、性感染症ではそうとは限りません。

男性の淋菌は、排尿時の強い痛みと多量の膿が出るため、気付きやすい性感染症です。一方でクラミジアは症状が軽いか出ないため、気付かれないまま長く感染が続きます。ガイドラインでは、女性のクラミジアは自覚症状がないまま卵管を傷つけたりお腹の中に癒着を作ったりして、卵管妊娠や不妊の原因になるとされています。

気付きやすい性感染症は早く治療に結びつき、気付きにくい性感染症ほど放置されて害が大きくなる。症状が軽いことは安心材料にならない、ということに注意しましょう。

梅毒のしこりやヘルペスの水ぶくれは消えても治っていない

もうひとつの落とし穴が、症状が自然に消えることです。

梅毒の最初のしこりやただれは、放っておいても2〜3週間で消えます。しかし厚生労働省は、これは病気が治ったわけではなく、その後全身に広がり、約3か月後には手のひらや足の裏を中心に発疹が出ると説明しています。性器ヘルペスも、治療しなくても2〜3週間で治りますが、ウイルスは神経の奥に潜んで残り、再発を繰り返すことがあります。

では、症状はいつ出てくるのか。次の章で、病気ごとの日数を一覧にします。

性感染症の初期症状はいつから出るか 病気ごとの日数

感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)は、性感染症によって大きく違います。心当たりから何日たって症状が出たかは、可能性のある性感染症を絞る1つ目の手がかりです。

性感染症 症状が出るまでの目安 最初に出やすい症状
淋菌感染症 2〜9日 男性は排尿時の痛みと膿。女性は無症状が多い
性器ヘルペス(初めての感染) 2〜10日 陰部の痛い水ぶくれ・ただれ、発熱
腟トリコモナス症 10日前後 泡状でにおいの強いおりもの、強いかゆみ
クラミジア感染症 1〜3週間 男性は軽い排尿時の痛み。女性は無症状が多い
梅毒 約3週間(10〜30日) 陰部の痛くないしこり・ただれ
HIV 1〜6週間 発熱、リンパの腫れ、発疹など風邪に似た症状
尖圭コンジローマ 約3か月(3週間〜8か月) 陰部の痛くもかゆくもないイボ
ケジラミ症 かゆみは1〜2か月後が多い 陰毛のあたりのかゆみだけで、発疹はない

出典:厚生労働省「オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A」、日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン2016」、日本感染症学会「感染症クイックリファレンス 急性HIV感染症」、東京都感染症情報センター「淋菌感染症」

表からわかるのは、心当たりの数日後に出た症状と、1か月以上たってから出た症状では、疑う病気がまったく違うということです。昨日の心当たりで今日症状が出ることは多くありませんが、逆に「もう1か月たったから大丈夫」とは言えません。

ここからは、男性と女性に分けて、症状ごとに痛みの有無で見分けていきます。

男性の性感染症の症状チェック

男性の性感染症の症状は、尿道(膿・排尿時の痛み)、陰部の皮膚(ただれ・水ぶくれ・イボ)、睾丸、かゆみの4つに分けると整理しやすくなります。

膿が出る・おしっこが痛い男性の症状は、膿の色と痛みで淋菌とクラミジアの見当がつく

尿道から膿が出る、排尿時に痛むという症状は、尿道炎の症状です。性感染症による尿道炎の多くは淋菌かクラミジアで、ガイドラインでは次のように違いがまとめられています。

淋菌 クラミジア
症状が出るまで 2〜9日 1〜3週間
始まり方 急に始まる 比較的ゆっくり
排尿時の痛み 強い 軽い
膿・分泌物 黄白色で量が多い膿 透明〜白っぽくさらさらしている、量は少ない

男性のクラミジアでは、軽い尿道のかゆみや不快感だけで、ほとんど症状がないこともあります。ガイドラインでは、20歳代の無症状の男性の尿検査でクラミジアの陽性率が4〜5%だったという報告も紹介されています。

ただし、症状の軽い淋菌もあり、淋菌とクラミジアに同時に感染していることもあります。ガイドラインでは男性の淋菌性尿道炎の20〜30%でクラミジアも同時に見つかるとされています。膿の様子は目安にとどめ、検査で両方を調べてください。

性病以外の原因で起きる尿道炎や、手元の抗生物質で治らない理由は、尿道炎の原因と、淋菌に効かない抗生物質の記事で詳しく扱っています。

陰部のただれや水ぶくれは、痛ければヘルペス、痛くなければ梅毒を疑う

亀頭や陰茎、包皮にただれや水ぶくれができたときに、まず確かめてほしいのが痛みです。

痛い場合は性器ヘルペスの可能性があります。初めて感染したときは、感染から2〜10日後に、かゆみや違和感を伴う1〜2mmほどの小さな水ぶくれがいくつもでき、3〜5日目ごろに破れて痛みのある浅いただれになります。1週間前後が最も重く、足の付け根のリンパ節が腫れて痛み、熱が出ることもあります。再発したときは、小さなただれや水ぶくれが少しできる程度で、初めてのときより軽く済みます。

痛くない場合は梅毒の可能性があります。感染から約3週間後に、菌が入った場所に小豆大から指先ほどの硬いしこりができ、やがて中央がくずれてただれます。男性では亀頭のくびれ(冠状溝)、包皮、亀頭にできやすいとされています。足の付け根のリンパ節も硬く腫れますが、痛みはないことが特徴的です。

梅毒のしこりは痛くもかゆくもないうえ、2〜3週間で消えてしまいます。「痛くないから大丈夫」ではなく、「痛くないのに治らないできもの」こそ梅毒の特徴です。

粉瘤や毛嚢炎のように性感染症ではないものも含めた見分け方は、陰部のできもの・しこりを痛みの有無で分けた記事にまとめています。

陰部のイボやぶつぶつは尖圭コンジローマのことがあるが、性感染症ではない粒もある

陰部にイボのようなものができた場合に考えられる性感染症が、尖圭コンジローマです。感染から平均で約3か月後に、ざらざらした表面のイボが、ひとつまたは複数できます。形は乳頭状、ニワトリのとさか状、カリフラワー状と表現され、色は淡い紅色から褐色です。男性では亀頭、冠状溝、包皮、陰嚢のほか、肛門のまわりにもできます。痛みやかゆみは通常ありません。

一方で、陰部のぶつぶつがすべて性感染症というわけではありません。ガイドラインでは、次のものは性感染症ではないとされています。

  • 陰茎真珠様丘疹:亀頭のくびれに沿って、1mm前後の肌色から褐色の小さな粒が並ぶもの。生理的な変化で、感染することもなく、放置してかまわないとされています
  • フォアダイス:陰茎に1mmほどの白い小さな粒がたくさん集まってできるもの。皮脂腺によるもので、唇や頬の内側にもでき、治療の対象にはならないとされています

小さな粒がきれいに並んでいる、昔からある、数が増えないという場合は、これらの可能性もあります。ただし自分で区別するのは難しいので、少しでも気になる場合は泌尿器科や皮膚科、婦人科で診察を受けましょう。

睾丸が腫れて痛い男性の症状は精巣上体炎 突然の激痛はすぐ受診する

睾丸(精巣)のあたりが腫れて痛む場合、性感染症で考えられるのは精巣上体炎です。尿道の淋菌やクラミジアが奥へ進んで、精巣の上にある精巣上体に炎症を起こします。

ガイドラインでは、中年以下の精巣上体炎の多くはクラミジアが原因とされ、クラミジアの場合は腫れが比較的軽く、熱も軽いことが多いとされています。淋菌の場合は炎症が強く、陰嚢が腫れ、歩くのがつらいほど痛み、熱が出ることが多いとされています。治療しないと両側に広がり、無精子症を起こすことがあります。

注意してほしいのは、突然、睾丸に激しい痛みが出た場合です。これは性感染症ではなく、精巣が精索を軸にねじれる「精索捻転」の可能性があります。学童期から青年期に多く、捻転の程度にもよりますが、一般的に発症から6時間以内(ゴールデンタイム)に治療(整復手術)を受けることで精巣を救える可能性が90%以上とされています。時間が経過するにつれて救済率は下がり、12時間を超えると約50%、24時間を超えると精巣を温存するのは困難になってしまいます。激痛がある場合は、性感染症かどうかを悩む前に、一刻も早く泌尿器科を受診してください。熱がなく、陰嚢を持ち上げると痛みが強くなるのが特徴です。突然の激痛は、性感染症かどうかを考える前に、すぐに医療機関を受診してください。

亀頭のかゆみと赤みはカンジダ、陰毛のかゆみだけならケジラミ

亀頭にかゆみや違和感があり、亀頭のくびれのあたりが赤くなる、小さな赤いぶつぶつや白いカスがつくという場合は、カンジダによる亀頭炎が考えられます。ただしガイドラインでは、男性はカンジダを持っていても症状が出ることは少なく、症状が出るのは包茎の人、糖尿病のある人、ステロイドを使っている人などが多いとされています。

陰毛のあたりがかゆいだけで、発疹がないという場合は、ケジラミ症が考えられます。ケジラミという小さな虫が陰毛に寄生するもので、かゆみ以外の皮膚の症状がないのが特徴です。かゆみが出るのは感染から1〜2か月後が多く、下着に黒い点のような染み(ケジラミの血のふん)がつくことも手がかりになります。かきむしって湿疹になることもあります。

男性の症状はここまでです。女性の性感染症の症状は、おりものの変化と、気付きにくさがポイントになります。

女性の性感染症の症状チェック

女性の性感染症の症状は、男性以上に出にくいのが特徴です。そのうえで症状が出る場所は、おりもの、お腹の痛みや出血、外陰部の皮膚の3つに分けられます。

おりものの色・におい・かゆみでトリコモナス、カンジダ、細菌性腟症の見当がつく

おりものの量や色、においの変化で気付く病気は、主に次の3つです。ガイドラインでは、おりものの様子に違いがあるとされています。

腟トリコモナス症 カンジダ腟炎 細菌性腟症
おりもの 量が多い。黄緑色がかった膿のようで、泡状のこともある 白く、酒かす状・ヨーグルト状。量は少なめ 灰色で水っぽく均一。量はふつう
におい 強いにおいがあることが多い ない 魚のようなにおいがある
かゆみ 外陰部・腟の刺激感と強いかゆみ 強いかゆみ 軽い。約半数は無症状
性行為との関係 性行為でうつる 性行為と関係なく起こることが多い 性行為と関係して起こることがある

カンジダ腟炎は性感染症として扱われることがありますが、ガイドラインでは、発症に性感染症が関わることは少なく、抗菌薬を使ったあとなどに起こりやすいとされています。性行為が原因のものは約5%です。

ただし、ガイドラインはこれらの症状はほかの病気でも見られることがあり、それだけで決まるものではないとしています。

黄色・黄緑・茶色といった色ごとの見方や、市販のカンジダ薬を使える条件は、おりものの色・におい・かゆみで見分ける記事で扱っています。

クラミジアと淋菌は女性のおりものが変わりにくく、不正出血や腹痛で気付く

女性で特に注意が必要なのが、クラミジアと淋菌です。どちらも子宮の入り口(子宮頸管)に感染しますが、ガイドラインでは、最近は症状や見た目の変化が乏しい例が多く、クラミジアではほとんど所見がないことが多いとされています。

症状が出る場合は、おりものが増えた感じ、不正出血、性交時の痛み、下腹部の痛みなどです。

気付かないまま感染が子宮や卵管、お腹の中へ広がると、骨盤内炎症性疾患を起こします。ガイドラインでは、発熱や下腹部の痛みが出て、ときには救急搬送されるほどの激しい腹痛になることもあるとされています。さらに上腹部まで広がると、肝臓のまわりに炎症が起き、右の上腹部に強い痛みが出ることがあります。

おりものに変化がないことは、クラミジアや淋菌に感染していないことの証明にはなりません。不正出血や下腹部の痛みが続く場合は、性感染症の可能性も含めて婦人科で相談してください。

外陰部のただれ・水ぶくれ・イボの見分け方は痛みの有無

外陰部にできるものも、男性と同じく痛みの有無が手がかりになります。

痛い水ぶくれやただれは性器ヘルペスの可能性があります。女性の初感染は症状が強く、感染から2〜10日後に比較的突然、大陰唇・小陰唇から会陰にかけて浅いただれや水ぶくれがたくさんでき、38℃以上の熱が出ることもあります。痛みが強く、おしっこがしにくくなったり、歩くのがつらくなったりすることもあります。ほとんどの人で足の付け根のリンパ節が腫れて痛みます。

痛くないしこりやただれは梅毒を疑います。女性では大陰唇・小陰唇にできやすいとされていますが、ガイドラインでは、子宮頸部や腟にできることが多く気付かないことが多いとされています。自分で見える場所に何もないことは、安心の理由になりません。

痛くもかゆくもないイボは尖圭コンジローマの可能性があります。大陰唇・小陰唇、会陰、腟の入り口、腟、子宮頸部、肛門のまわりにできます。なお、腟の入り口や小陰唇の内側に、肌色から褐色の細かい突起が並んでいるものは腟前庭乳頭腫症と呼ばれ、ガイドラインでは正常な粘膜の突起とされています。

ここまでは性器まわりの症状でした。性感染症の症状は、性器以外の場所に出ることもあります。

熱・発疹・頭痛など性器以外に出る性感染症の症状

「性感染症なのに熱が出るのか」「体に発疹が出たのは性感染症と関係あるのか」と調べる人も少なくありません。性器以外に出る症状は、性感染症だと気付かれにくい症状でもあります。

高い熱が出る性感染症はヘルペスとHIVの初期、下腹部や睾丸の炎症

性感染症で熱が出る主な場面は次のとおりです。

  • 性器ヘルペスの初感染:陰部の痛い水ぶくれとともに発熱する。女性では38℃以上になることがある
  • HIVの初感染期:感染から1〜6週間後に、発熱をはじめとした風邪に似た症状が出ることがある(この章の最後で説明します)
  • 炎症が奥へ広がったとき:女性のクラミジアや淋菌による骨盤内炎症性疾患、男性の淋菌による精巣上体炎では、発熱を伴うことが多い

熱だけで性感染症かどうかはわかりませんが、陰部の症状や、下腹部・睾丸の痛みと一緒に出た熱は、性感染症の可能性を考える理由になります。

性感染症で皮膚に出る発疹・湿疹・ぶつぶつ・赤い斑点

体に出る発疹で、まず知っておいてほしいのが梅毒です。厚生労働省は、梅毒では手のひら、足の裏、体中に、痛みもかゆみもない発疹が広がると説明しています。

ガイドラインによると、梅毒の感染から3か月前後の時期(第2期)には、次のような皮膚の症状が出ます。

  • 赤い斑点(梅毒性バラ疹):胴体を中心に、顔や手足にも出る、爪ほどの大きさまでの目立たない薄い紅色の斑点。自覚症状がなく数週間で消えるため、見過ごされることが多い
  • ぶつぶつ(丘疹性梅毒疹):小豆からエンドウ豆ほどの大きさの、赤褐色から赤銅色のぶつぶつ
  • 手のひら・足の裏の発疹(梅毒性乾癬):赤褐色の斑点で、皮がむける。第2期の特徴的な症状

第2期の発疹は、3か月から3年にわたって出たり消えたりを繰り返しながら続くことがあります。体の発疹が消えても、梅毒が治ったことにはなりません。

そのほか、HIVの初感染期にも発疹が出ることがあります。陰毛のあたりのかゆみでかきむしって湿疹になっている場合は、先に説明したケジラミ症も考えられます。

HIVの初期症状は風邪に似ていて、発熱・リンパの腫れ・発疹・頭痛が出る

HIVに感染してから1〜6週間後(ピークは3週間前後)の急性期には、感染した人の約半数に、発熱、のどの痛み、頭痛、リンパ節の腫れ、発疹などのインフルエンザに似た急性症状があらわれます。

その後、これらの症状は消え、その後は数年から十数年、症状のない時期が続きます。心当たりの1〜6週間後に風邪のような症状が出て治ったという場合は、症状が消えたあとでもHIVの検査を考える理由になります。

性感染症の症状チェック表 痛み・症状が出るまでの日数・部位

痛みの有無と症状が出るまでの日数を確認しましょう。当てはまるものがあっても、それで性感染症と決まるわけではありませんが、受診の参考にしてください。

症状 痛み 出るまでの目安 可能性がある性感染症
男性:尿道から黄白色の膿が多く出る 強い 2〜9日 淋菌
男性:さらさらした分泌物、排尿時に軽い痛みや不快感 軽い・ないことも 1〜3週間 クラミジア
男女:陰部に小さな水ぶくれがいくつもでき、ただれる。熱が出ることも 強い 2〜10日 性器ヘルペス
男女:陰部に硬いしこりやただれ。2〜3週間で消える ない 約3週間 梅毒(初期)
男女:陰部や肛門のまわりにイボ ない 約3か月 尖圭コンジローマ
男性:睾丸のあたりが腫れて痛む、熱 ある 尿道炎のあと 精巣上体炎(クラミジア・淋菌)
男性:突然の睾丸の激痛、熱はない 激しい — 性感染症ではなく精索捻転の可能性。すぐ受診
男性:亀頭のかゆみ、赤み、白いカス かゆみ — カンジダ
男女:陰毛のあたりがかゆいだけで発疹がない かゆみ 1〜2か月 ケジラミ症
女性:泡状で強いにおいのおりもの、強いかゆみ 刺激感 10日前後 腟トリコモナス症
女性:白いヨーグルト状のおりもの、強いかゆみ かゆみ — カンジダ(性感染症以外の原因が多い)
女性:不正出血、性交時の痛み、下腹部の痛み ある 1〜3週間以降 クラミジア・淋菌
男女:手のひら・足の裏・体に発疹や赤い斑点 ない(かゆみもない) 約3か月 梅毒(第2期)
男女:発熱、リンパの腫れ、発疹、頭痛など風邪に似た症状 — 1〜6週間 HIV(初感染期)
男女:症状はないが心当たりがある — — クラミジア・淋菌・梅毒・HIVなど

表の最後の行が、実はいちばん多いケースです。ここまで見てきたとおり、性感染症は症状が出ないことも、出た症状が消えることもあります。では、写真でも症状でも決められないとき、何で確かめればよいのでしょうか。

性感染症の症状は写真で見比べるより検査で確かめる

この記事に症状の写真を載せていないのには理由があります。写真で見比べても、自分の症状がどれかを決めることはできないからです。

陰部のただれで見分けるべき病気は13あり、半分以上は性感染症ではない

ガイドラインでは、男性の性器にただれができたときに見分けるべき病気として13の病気が挙げられています。そのうち性感染症は、性器ヘルペス、梅毒、軟性下疳など5つで、残りの8つは帯状疱疹、薬による発疹(固定薬疹)、かぶれ(接触皮膚炎)、傷、ベーチェット病などの性感染症以外の病気です。

見た目が似ていても原因は違い、原因によって治療も変わります。医師も、症状の見た目だけでなく、経過を聞き、検査で病原体を確かめて診断します。写真で「これに似ている」と思っても、それが答えになるとは限りません。

性感染症の検査は症状によって血液・尿・おりもの・視診と方法が変わる

厚生労働省は、性感染症の検査方法は症状によって異なり、主に血液検査、視診、尿検査、おりものを採る検査になると説明しています。

たとえば、梅毒は医師の診察と血液検査で診断されます。男性のクラミジアや淋菌は尿で、女性は子宮頸管の分泌物で調べるのが一般的です。性器ヘルペスは、水ぶくれやただれの部分を調べます。どの検査が必要かは症状と心当たりによって変わるので、受診したときに、いつ心当たりがあったか、どんな症状がいつから出ているかを伝えてください。

なお、感染してすぐは検査で正しい結果が出ないものもあります。例えば、梅毒の血液検査は感染の心当たりから約4週間以上あけて検査を受けるのが一般的です。初期のしこりが出ている時期など、感染直後では抗体が十分に作られておらず陰性となることもあるためです。この場合にも一度の検査で安心できるとは限りません。症状がある場合は、時期を置いて再度検査を受けることが重要です。

性感染症の症状は何科に行けばいいか 保健所の匿名・無料検査

厚生労働省のQ&Aでは、性感染症は一般的に、男性では泌尿器科または皮膚科、女性では産婦人科で診察されているとされています。あらかじめ電話をしてから受診することが勧められています。

また厚生労働省によると、保健所では匿名・無料で梅毒などの性感染症の検査を受けられることがあり、夜間・休日の検査や女性向けの日を設けているところもあります。検査できる項目は保健所によって違うので、事前に確認してください。性感染症について相談したいときも、全国の保健所で相談できます。

喉や口の症状が気になる場合は、性器とは別に喉の検査が必要になることがあります。受診時に伝えてください。

性感染症の症状について参照した公的資料

この記事は、次の資料の記載にもとづいて作成しています。特定のクリニックが公開している情報は使用していません。

症状から病気を特定することはできません。気になる症状がある場合や感染の心当たりがある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

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