※この記事は広告を含みます。掲載している料金は各院の公式サイトで確認したものです。
お風呂で陰部を洗っていたら、指に小さなしこりが当たった。デリケートゾーンにニキビのようなできものがあって、押すと痛い。あるいは、痛くもかゆくもないできものに、ある日ふと気づいた。
陰部のできものの原因を絞り込むとき、最初に確かめたいのは「痛いか、痛くないか」です。そして、多くの人の感覚とは逆に、注意が必要なのは痛くないほうです。厚生労働省の資料を見ると、痛まないできものから始まる梅毒の報告は、この10年で8倍以上に増えています。
この記事では、痛みと見た目の組み合わせから陰部のできものの正体を整理し、国の報告数から見た「痛くないできもの」の注意点、潰してよいか、市販薬で様子を見てよいか、何科を受診するかまでを解説します。女性にも男性にも当てはまる内容です。
陰部・デリケートゾーンのできものは「痛いか・痛くないか」で候補が分かれる
陰部のできものは、痛みがあるかないかと、見た目や触った感じの組み合わせで、考えられる原因がかなり絞り込めます。
痛み×見た目の早見表
| 痛み | 見た目・触った感じ | 考えられるもの | 性感染症か |
|---|---|---|---|
| 痛い | 毛の根元に赤いぶつぶつ、先に白い膿 | 毛嚢炎・せつ(おでき) | いいえ |
| 痛い | 赤く腫れて、押すと痛いしこり | 炎症を起こした粉瘤 | いいえ |
| 痛い(女性) | 腟の入り口の片側だけが腫れる | バルトリン腺の嚢胞・膿瘍 | 多くは関係ない |
| 痛い | 小さな水ぶくれが集まり、破れてただれる | 性器ヘルペス | はい |
| 痛くない | 硬いしこり、または痛まないただれ | 梅毒(初期) | はい |
| 痛くない | 先がとがったイボ、カリフラワー状のかたまり | 尖圭コンジローマ | はい |
| 痛くない | 真ん中に黒い点がある、ころっとしたしこり | 粉瘤(炎症を起こす前) | いいえ |
| かゆい | 白いぶつぶつや赤み | カンジダなど | 性行為でうつることもある |
※目安です。見た目だけで病気を確かめることはできません。
表を見ると、痛いできものは性器ヘルペスを除けば性感染症以外のものが多く、痛くないできものの側に梅毒や尖圭コンジローマが入っていることがわかります。痛みがないことは、安心材料ではなく、見逃しやすいサインです。男性の亀頭まわりの白い粒やカンジダによるかゆみは、ちんこ・亀頭がかゆいときの記事で詳しく解説しています。
画像検索で自己判断しにくい理由
自分のできものと写真を見比べたくなるのは自然なことです。ただ、ネットの写真は典型的な状態のものが多く、同じ病気でも出始めと数日後で見た目が変わります。梅毒の初期のしこりは小さな赤い盛り上がりから始まることがあり、ニキビや毛嚢炎と区別がつきにくいこともあります。写真は候補を知るために使い、決め手にはしないようにしましょう。
痛いできもの・しこりの正体
押すと痛い、ズキズキする、ヒリヒリする。痛みがあるできものは、炎症が起きているサインです。
毛の根元の赤い腫れやニキビのようなもの:毛嚢炎・せつ
陰毛の根元にニキビのような赤いぶつぶつができ、先に白い膿が見える。「陰部のニキビ」の正体の多くは、細菌が毛穴や小さな傷から入って起こる毛嚢炎です。陰部は下着で蒸れやすく、カミソリでの処理や脱毛で毛穴が傷つきやすい場所です。炎症が深く広がると、押すと痛い硬めの腫れ(せつ・おでき)になります。
押すと痛いしこり:炎症を起こした粉瘤、バルトリン腺の腫れ
皮膚の下のころっとしたしこりが、ある時から急に赤く腫れて痛み出したなら、粉瘤が炎症を起こしている可能性があります。粉瘤は皮膚の下の袋に角質や皮脂がたまる良性のできもので、袋の中で細菌が増えると痛みが出ます。
女性で、腟の入り口の左右どちらか片側だけがぷっくり腫れているなら、バルトリン腺の嚢胞や膿瘍が考えられます。出口の管が詰まって液体がたまったもので、膿がたまると強い痛みや発熱を伴うことがあります。
水ぶくれがただれてヒリヒリする:性器ヘルペス
小さな水ぶくれがいくつも集まり、破れて浅いただれになってヒリヒリ痛むのは、性器ヘルペスの特徴です。初めてかかったときは感染から4〜7日ほどで症状が出て、発熱やおしっこのときの強い痛みを伴うこともあります。ウイルスは体に残り、疲れなどをきっかけに再発することがあります。抗ウイルス薬は早く始めるほど効果が期待できるので、疑わしいときは早めに受診しましょう。
痛くないできものの正体と、国の報告数
痛みがないと、つい様子を見てしまいがちです。では、痛くないできものの原因になる性感染症は、実際にどのくらい起きているのでしょうか。
梅毒の報告は2014年の約1,700件から2024年は14,663人に
厚生労働省の資料によると、梅毒の報告数は2014年の約1,700件から年々増え、2022年に1万件を超えました。2024年は14,663人(暫定値)で、10年で8倍以上に増えています。男性9,401人、女性5,262人で、女性は20代に多く、男性は20代から50代まで幅広い年代で報告されています。
| 性感染症 | 主なできもの | 痛み | 2024年の報告数(男性/女性) |
|---|---|---|---|
| 梅毒 | 硬いしこり、痛まないただれ | ない | 9,401人/5,262人(全数報告) |
| 尖圭コンジローマ | 先がとがったイボ | ほとんどない | 4,288件/2,096件(定点報告) |
| 性器ヘルペス | 水ぶくれ、ただれ | ある | 3,862件/6,139件(定点報告) |
※出典は厚生労働省の資料「日本の性感染症の発生動向」(2025年5月)で、いずれも暫定値。梅毒はすべての患者の報告、尖圭コンジローマと性器ヘルペスは全国976か所の定点医療機関からの報告で、両者の数は直接比べられません。
痛まない硬いしこり・ただれ:梅毒の初期
梅毒は、感染してから通常3〜4週間後に、感染した場所に小さな赤い盛り上がりができ、硬いしこりや痛みのないただれになります。足の付け根のリンパ節が腫れることもありますが、これも痛みはありません。
やっかいなのは、この初期のしこりやただれが、治療しなくても数週間で消えてしまうことです。消えても治ったわけではなく、体の中で病気は進み、次の段階では手のひらや足の裏、全身に発疹が出てきます。「痛くない」「そのうち消えた」という経過こそ、梅毒を疑うきっかけになります。
先がとがった小さなイボ:尖圭コンジローマ
陰部や肛門のまわりに、先がとがったイボや、カリフラワーのような形のかたまりができるのは、尖圭コンジローマの特徴です。主にヒトパピローマウイルス(HPV)の6型・11型による性感染症で、感染から症状が出るまで数週間から3か月ほどかかります。痛みやかゆみはあまりなく、触って初めて気づく人も少なくありません。国の報告では、男性が女性の約2倍です。治療してもパートナーがウイルスを持っていると再びうつることがあるため、パートナーの診察も大切です。
真ん中に黒い点があるしこり:粉瘤
皮膚の下に弾力のあるしこりがあり、真ん中に黒い点が見えて痛みはない。これは炎症を起こす前の粉瘤によく見られる姿です。性感染症ではなく、人にうつることもありません。ただ、袋が自然に消えることはないため、少しずつ大きくなったり、炎症を起こして痛み出したりします。気になるなら、炎症を起こす前に皮膚科で相談しておくと治療の選択肢が広がります。
潰す・市販薬で様子を見てよいのはどこまでか
できものがあると、潰したくなったり、ドラッグストアの薬でなんとかしたくなったりするものです。自分で対処してよい範囲は、思ったより狭いです。
自分で潰すと治りが遅くなる理由
陰部のできものは、自分で潰さないほうが安全です。粉瘤は中身を押し出しても袋が残るので、またたまってきます。潰すときに細菌が入ると強く腫れ、すぐには手術で取り除けなくなることもあります。毛嚢炎を無理に潰すと細菌が周りに広がるおそれがあり、性器ヘルペスの水ぶくれを潰すと、指についたウイルスがほかの場所に広がる原因になります。
デリケートゾーンのできものに市販薬で対処できるもの、できないもの
市販薬で様子を見られるのは、軽い毛嚢炎に抗菌薬入りの化膿止めを数日試す場合や、過去に医師から腟カンジダと診断された女性が再発治療薬を使う場合くらいです。市販のヘルペス薬は口唇ヘルペスの再発用で、陰部には使えません。粉瘤、梅毒、尖圭コンジローマは、医療機関での治療が必要です。原因がはっきりしないまま市販薬を塗り続けると、梅毒のような性感染症の発見が遅れることにもなります。数日たってもよくならなければ受診しましょう。
外陰がんを見逃さないサイン
がんを心配して調べる人もいますが、陰部のできものの大部分は、ここまで紹介した良性のものや感染症です。外陰がんは女性の生殖器のがんの中でもまれな病気で、高齢の人に多いとされます。一方で、HPVが関わるがんの手前の段階は比較的若い人にも見られます。
外陰がんで見られる症状には、しこり、治りにくいただれ、長く続くかゆみ、皮膚の色の変化(赤く、白っぽく、黒っぽくなる)、出血などがあります。毛嚢炎やヘルペスのできものは、数日から数週間で落ち着くのがふつうです。何週間たっても治らないしこりやただれ、長く続くかゆみや皮膚の色の変化があるなら、年齢にかかわらず婦人科を受診してください。
陰部のできものは何科を受診するか
受診先は、性別と、できものの種類で選ぶとわかりやすくなります。
女性は婦人科か皮膚科、男性は泌尿器科か皮膚科
女性は、バルトリン腺の腫れ、カンジダ、性感染症が心配なできもの、治らないただれは婦人科が向いています。毛嚢炎や粉瘤のように皮膚のできものだとわかっているなら皮膚科でも診てもらえます。男性は、性感染症が心配なら泌尿器科か性病科、毛嚢炎や粉瘤なら皮膚科です。陰部を見せるのが恥ずかしいときは、女性医師の在籍を予約前に医療機関のホームページで確かめておくと安心です。
性病かもしれない場合の相談先
できものの見た目だけで、どの性病かを見分けるのは難しいものです。膿やかゆみ、熱など、できもの以外の症状もあわせて確かめたい場合は、性感染症の症状を痛みと日数で見分ける記事が参考になります。どこへ行けばよいか迷うなら、DMMオンラインクリニックなどのオンライン診療で、まず医師に相談するという選択肢もあります(診察料は無料)。ただし、オンラインで治療までできるのは、クラミジア、性器ヘルペス、トリコモナス、ウレアプラズマ、カンジダだけで、淋菌と梅毒は対面の医療機関で治療します。検査の結果がないと、適切な治療を受けられない場合もあります。痛くない硬いしこりやただれがあって梅毒が心配なとき、先がとがったイボがあるときは、実際に診察と検査を受けられる医療機関を選びましょう。
参照した情報
- 日本の性感染症の発生動向(厚生労働省)
- 梅毒(厚生労働省)
- 梅毒(MSDマニュアル家庭版)
- 性器ヘルペス(MSDマニュアル家庭版)
- 尖圭コンジローマとは(国立健康危機管理研究機構)
- 毛包炎と皮膚膿瘍(MSDマニュアル家庭版)
- バルトリン腺嚢胞およびバルトリン腺膿瘍(MSDマニュアル家庭版)
- 粉瘤(兵庫医科大学病院 みんなの医療ガイド)
- 外陰がん(MSDマニュアル家庭版)
- 外陰がん(国立がん研究センター がん情報サービス)
- アクチビア軟膏 添付文書情報(一般用医薬品)

