京都で不眠症のクリニックを探すとき、診療時間より先に確認したほうがよいことがあります。初診の予約が取れるかどうかです。
四条烏丸を中心に6院の公式サイトを1件ずつ確認したところ、そのうち3院で初診の受付に制限がかかっていました。ただし理由は3院とも違います。枠が埋まっている院、予約の窓口そのものが狭い院、そして不眠症を診る枠が週に3回しかない院です。
この記事では、その理由の違いから6院を整理します。掲載数を増やすことは目的にしていません。1院ずつ確認した内容だけを書いています。
京都で不眠症の初診が取れない3つの理由
理由1 初診の予約枠に空きがない
あきしのこころのクリニックは、公式サイトの「初診の予約状況のお知らせ」に、現在予約枠に空きがない旨を掲載しています。
同院は初診以降も治療を円滑に受けられるよう、まず再診の予約を受け、初診予約枠を確保できたらお知らせ欄に随時掲載する運用です。予約枠には上限があるため、初診予約枠を案内できないこともあると明記されています。
すでに通っている人の枠を確保したうえで初診を受けるという方針であり、患者を選別しているわけではありません。ただし新規で受診したい側から見れば、いつ空くかがわからない状態になります。
理由2 予約の窓口が週3日の午前中しかない
こう心療クリニックは、初診のインターネット予約を火・水・金曜日の午前中のみ、1か月前から受け付けています。枠が埋まり次第停止する運用です。
さらに2026年8月21日付のお知らせで、電話での初診予約枠は現在なく、再開は未定と案内されています。つまり初診にたどり着く経路が、週3日の午前中に開くネット予約だけに絞られています。
無断キャンセル・当日キャンセルをすると次回以降ネット予約ができなくなること、キャンセル待ちは受け付けないことも明記されています。
理由3 不眠症を診る枠が週3回しかない
たなか睡眠クリニックは事情が違います。予約が埋まっているのではなく、そもそも枠の構成が分かれています。
診察表が「無呼吸」と「睡眠障害」の2枠に分かれており、睡眠障害の枠が開いているのは月・水・金の13:30〜17:00の3枠だけです。18:30〜21:00の夜間枠は月・水・木・金にありますが、いずれも無呼吸専用。
「夜21時まで診療」という表記だけを見て夜間に予約しようとしても、不眠症では受けられません。京都で唯一の睡眠専門クリニックでありながら、不眠症で通おうとすると平日の昼下がりに限られることになります。
四条烏丸6院の初診条件と診療時間
2026年9月1日時点で、各院の公式サイトに記載されている内容です。
| 医療機関 | 最寄り | 診療時間 | 休診日 | 初診の条件 |
|---|---|---|---|---|
| あきしのこころのクリニック | 地下鉄四条駅5番出口すぐ | 9:30〜13:00/16:00〜20:00 土曜は14:00まで |
木・土曜午後 日・祝 |
現在、予約枠に空きなし 再診の予約を優先し、枠が確保できたらお知らせ欄に掲載 |
| こう心療クリニック | 地下鉄四条駅3番出口 徒歩2分 | 9:00〜12:30/15:30〜19:30 | 月曜午前・木曜午後 土曜午後・日・祝 |
ネット予約は火・水・金の午前中のみ 1か月前から受付、枠が埋まり次第停止 電話での初診枠は現在なし |
| たなか睡眠クリニック | 阪急烏丸駅・地下鉄四条駅 15番出口 徒歩3分 |
9:30〜12:00/13:30〜17:00 18:30〜21:00 |
火・日・祝 | 完全予約制 睡眠障害の枠は月・水・金の13:30〜17:00のみ |
| 四条烏丸こころやすらぎクリニック | 阪急烏丸駅 徒歩1分 | 10:00〜14:00/15:30〜20:00 | なし 土日祝も診療 |
24時間WEB予約 18歳未満は不可 |
| 四条烏丸駅前メンタルクリニック | 阪急烏丸駅 徒歩1分 | 10:00〜14:00/15:00〜19:00 | 日曜(祝日は掲載元により記載が異なる) | 予約制 当日の予約・初診も可能 |
| かねこメンタルクリニック | 地下鉄・JR二条駅 徒歩2〜4分 | 9:30〜12:30/15:30〜19:30 | 木曜午後・土曜午後 日・祝 |
土曜13:00〜15:00が初診専用枠 WEB予約は初診のみ |
当日の初診に対応している四条烏丸駅前メンタルクリニック
予約制ながら当日の予約と初診に対応しています。院長は並河東明医師(2025年4月就任、日本精神神経学会精神科専門医)。
なお同院については公式サイト本体を確認できず、この情報は第三者の医療情報サイトの掲載内容に基づきます。祝日の診療可否も掲載元によって記載が異なります。受診前に直接ご確認ください。
土曜13時からを初診専用枠にしているかねこメンタルクリニック
二条駅にありますが、土曜13:00〜15:00を初診専用の受付枠として設けています。通常の診療時間では土曜午後が休診にあたる時間帯を、初診にあてている形です。
公式サイトには「お仕事が終わるのが遅く、受診したくてもなかなかお越しになれない方は土曜の受診をご相談ください」と明記されています。WEB予約は初診のみに開放されています。
休診日がなく土日祝も20時まで診る四条烏丸こころやすらぎクリニック
阪急烏丸駅から徒歩1分。休診日がなく、土日祝も20時まで診療しています。初診・再診ともネット予約が可能で、24時間受付。
ただし18歳未満は治療を受けられません。高校生以下の受診先を探している場合、この院は候補から外れます。
かねこメンタルクリニックは「不眠症とみなさないケース」を書いている
初診の取りやすさとは別に、各院が不眠症をどう捉えているかにも差がありました。かねこメンタルクリニックの記述は、6院のなかで方向がはっきり違います。
眠れていないと感じていても不眠症とは限らない
特徴的なのは、不眠症に当てはまらないケースを明示している点です。夕方に仮眠をとったり早すぎる時間帯に床に就いたりしてなかなか眠くならない、早い時間に寝て夜中に目が覚める。これらは必要な睡眠が確保できているため不眠症とは捉えない、と書いています。
「本当は眠れているが、自分では全く眠れていないと感じる」タイプにも触れています。受診を考えている人にとっては、自分がどちらなのかを受診前に考える材料になります。
薬物治療は補助 生活指導が主体という方針
治療方針も明確で、薬物治療はあくまでも補助的なもので生活指導が主体としています。
具体的には、睡眠状態を記録して自分の睡眠を客観視すること、自分の平均睡眠時間を割り出して起床時間を決め、そこから逆算して床に就く時間を設定すること、日中は眠くてもいつも通りの生活を送ることを挙げています。
睡眠薬を出してほしいという希望で受診する場合、この院の方針とは前提が違うことになります。
睡眠薬のやめ方まで書いている院がある
薬をどう始めるかを書いている院は多くありますが、どうやめるかまで書いている院は限られます。
あきしのこころのクリニックは減薬時の注意まで書いている
同院は不眠症を入眠障害・中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒の4タイプに分けて解説しています。入眠障害は寝つきが悪く30分〜1時間以上眠れないタイプで不眠症の中では最も多い、早朝覚醒はうつ病の患者や高齢者に多い、といった具体的な記述です。
薬物療法の注意点が6院で最も踏み込んでいます。睡眠薬は絶対にお酒と一緒に飲んではいけないこと、服用したら30分以内に寝床につくこと、そして服用していた睡眠薬をいっぺんに中止するとリバウンドで不眠が悪化することがあるため、医師の指示のもとゆっくりやめること。減薬時の注意まで書いている院は他にありませんでした。
費用の目安と待ち時間の過ごし方も公開している
費用も公開されています。お薬の処方があり健康保険3割負担で初回に特別な検査がなければ、窓口負担額は2,300〜2,900円程度、2回目以降は1,400〜1,800円程度。20歳未満は1,000円程度高くなるとしています。初診の診察は30分〜1時間。
また、待合室ではなく近隣のカフェなどで待ちたい場合、受付に申し出れば診療時間になった際に携帯へ電話してもらえるという配慮もあります。心療内科の待合室に座っていることに抵抗がある人にとっては、実際的な情報です。
こう心療クリニックは精神科医と産業医の両方の立場から診る
院長の高宜良医師は、精神保健指定医、日本精神神経学会認定専門医・指導医、日本総合病院学会認定専門医・指導医(一般病院連携精神医学)、日本医師会認定産業医の資格を持つ女性医師です。
公式サイトには精神科医でもあり産業医でもある経験を活かして、勤労者のうつ病、適応障害、睡眠障害などへの薬物療法および精神療法、職場との環境調整を行うと記載されています。職場が不眠の背景にある場合、この観点は他院にない選択肢になります。
指定自立支援医療機関で、通院による精神疾患の治療費の一部を公費負担する制度が利用できます。
眠れない原因がいびきなら京都のどこへ行くか
たなか睡眠クリニックの診察枠が2つに分かれているのは、睡眠障害という言葉が複数の別の病気をまとめて指しているからです。自分がどちらなのかで、行く先も予約する枠も変わります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がって呼吸が止まる病気です。原因が体の構造にあるため、眠っている間の呼吸や酸素の状態を測る検査が診断に必要になります。在宅でできる簡易検査と、より詳しく調べるポリソムノグラフィー(PSG)があります。治療は気道に空気を送り込むCPAPが中心です。
一方の不眠症は、寝つけない、途中で目が覚める、朝早く目が覚める、眠った気がしないといった症状で、検査で数値が出る病気ではありません。生活習慣、ストレス、うつ病や不安障害などの精神疾患、内科の病気、服用中の薬など原因が幅広いため、問診で原因を絞り込む過程が診療の中心になります。
たなか睡眠クリニックは検査から治療まで対応する
医療法人瑞明会が運営し、公式サイトでは京都で唯一の睡眠障害治療専門クリニックと説明しています。日本睡眠学会認定医が在籍。睡眠時無呼吸症候群では簡易検査から精密検査、CPAP治療までのトータルケアが可能としています。
不眠症だけでなく、概日リズム睡眠障害、過眠症、睡眠関連運動障害、睡眠時随伴症にも対応。「いびきがひどく息が止まっている」「寝付きが悪い」「日中の眠気がひどい」「昼夜逆転している」「夜になると足がむずがゆくて眠れない」といった症状を挙げています。
完全予約制で、電話受付は13:30〜17:00のみ。土曜の診察は隔週で、詳細は月ごとにお知らせで告知される運用です。入院検査は19:00までに来院が必要です。
同院はあきた睡眠クリニック、仙台内科睡眠クリニック、大阪梅田睡眠クリニック、滋賀睡眠クリニックと同じグループの1院です。梅田の院は診療時間表に無呼吸枠と睡眠障害枠の区別がなく、代わりに症状によって担当医が変わると案内しています。
いびきの指摘がないなら初診の取りやすさを優先してよい
いびきの指摘がなく、寝つきの悪さや中途覚醒が主な悩みであれば、心療内科・精神科系の院が候補になります。京都の場合、この段階で最も現実的な判断材料は初診の枠が取れるかどうかです。
不眠は放置すると生活リズムが固まってしまい、改善に時間がかかります。1か月先まで初診が取れない院を待つより、先に受診できる院で相談を始めたほうが早い場合があります。
京都府の日本睡眠学会 専門医療機関は3機関
「不眠症 京都 名医」という探し方をする場合、日本睡眠学会の認定が判断材料になります。ただし京都府では、この基準で絞ると候補がほぼ残りません。
内訳は呼吸器内科・歯科口腔外科・診療所
日本睡眠学会は、専門医・歯科専門医・専門検査技師・専門医療機関・登録医療機関といった認定制度を設けており、それぞれの一覧を公開しています。
専門医療機関の一覧(2020年5月28日現在)に掲載されているのは全国105機関で、京都府からは3機関です。京都大学医学部附属病院の呼吸器内科(呼吸管理睡眠制御学)、国立病院機構京都医療センターの歯科口腔外科、医療法人大岡医院稲荷診療所の3つ。
診療科を見ると呼吸器内科と歯科口腔外科です。いずれも睡眠時無呼吸症候群を主に扱う診療科で、寝つきの悪さを相談したい人が求めているものとは性格が違います。四条烏丸の6院はいずれも掲載されていません。
愛知県の10機関 東京都の18機関と比べると少ない
都道府県別で見ると、東京都が18機関で最も多く、愛知県が10機関、福岡県が7機関で続きます。京都府の3機関は少ない部類です。愛知県の10機関は大学病院5つと耳鼻咽喉科系が中心で、名古屋駅周辺のクリニックは含まれていません。数の多さが、通いやすさに直結するわけではありません。
ただしこれは京都の睡眠医療の水準を示すものではなく、認定を受けている施設が全国的に限られているという話です。宮城県のように県内に1機関も掲載がなく、市内の4院がいずれも認定を持たない地域もあります。
大学病院は紹介状が前提になる
掲載3機関のうち京都大学医学部附属病院と京都医療センターは、原則として紹介状が必要です。紹介状なしの場合は初診料のほかに選定療養費がかかります。
認定資格を条件に探すと選択肢がほとんどなくなるため、自分の症状がどのタイプかと初診が取れて継続して通えるかの2点で絞るほうが実際的です。
初診を待つあいだにできること
不眠症を診療科目に掲げるオンラインクリニックがある
初診の枠が空いていない、平日日中に通院できないという場合、オンライン診療という選択肢があります。不眠症・睡眠障害を診療科目に掲げているオンラインクリニックが複数あり、スマートフォンでの診察と薬の配送で完結します。
ただし、いびきや無呼吸が疑われる場合は検査が必要になるため、オンラインだけでは完結しません。この場合は検査ができる医療機関の受診が前提になります。
市販のロゼレムSは一時的な寝つきの悪さに限られる
2026年7月28日、アリナミン製薬からロゼレムSが発売されました。医療用医薬品と同じ成分であるラメルテオンを8mg配合した市販薬で、市販薬としては初めての成分です。価格は7錠1,650円、14錠3,080円(いずれも税込・メーカー希望小売価格)。
ただし条件があります。
- 効能は「一時的な不眠の寝つきが悪い」のみ。慢性的な不眠症には適応がない
- 要指導医薬品のため、薬剤師の説明を受けて対面で購入する必要がある。インターネットでは購入できない
- 店頭では陳列されておらず、薬剤師のいる時間帯でないと購入できない
- 15歳未満は服用できない
数日眠れない日が続いている程度であれば市販薬で対応できる場面もありますが、1か月以上続く不眠は市販薬の守備範囲を超えています。市販薬を試して改善しない場合は、医療機関の受診に切り替えてください。
京都で初診先を決めるときの順番
- 診療時間より初診の枠が取れるかを先に見る。6院中3院で初診の受付に制限がかかっていた
- すぐに受診したいなら、当日の初診に対応する四条烏丸駅前メンタルクリニックか、休診日なしの四条烏丸こころやすらぎクリニック(18歳未満は不可)
- 平日に休みが取れないなら、かねこメンタルクリニックの土曜13:00〜15:00の初診専用枠
- たなか睡眠クリニックを不眠症で受診できるのは月・水・金の13:30〜17:00のみ。夜間枠は無呼吸専用
- いびきや日中の強い眠気があるなら、検査から治療まで対応するたなか睡眠クリニック
- 職場が不眠の背景にあるなら、産業医の資格も持つこう心療クリニック。ただし初診のネット予約は火・水・金の午前中のみ
- 薬を減らしたい・やめたいという相談なら、減薬時の注意まで公開しているあきしのこころのクリニック。ただし現在は初診枠に空きなし
- 学会認定は基準にしない。京都府の3機関は呼吸器内科・歯科口腔外科・大学病院系で、四条烏丸の6院は含まれない
本記事に掲載した診療時間・初診条件は2026年9月1日時点で各院の公式サイトを確認したものです。初診の予約状況は随時変わるため、受診前に必ず各院にご確認ください。
参照情報
- 日本睡眠学会 睡眠医療認定一覧(専門医・専門検査技師・専門医療機関・登録医療機関)
- あきしのこころのクリニック 公式サイト
- こう心療クリニック 公式サイト
- たなか睡眠クリニック 公式サイト
- 四条烏丸こころやすらぎクリニック 公式サイト
- かねこメンタルクリニック 公式サイト
- アリナミン製薬 ロゼレムS 製品情報

