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Weblioケア編集部が作成した本記事は、記載内容の医学的な正確性について医師の確認を受けています。監修の対象は医学的な記述であり、クリニックの料金・診療内容など編集部が公式サイトで確認した情報は監修の対象外です。本記事は特定の治療や医療機関を推奨するものではありません。診断・治療の判断は必ず医師にご相談ください。
「喉が痛い、飲み込むと違和感がある、扁桃が腫れている。」多くの人はまず風邪や扁桃炎を疑いますが、数日前にオーラルセックスの心当たりがあると、性病(性感染症)※ではないかと不安になる人もいます。
最初に知っておいてほしいのは、喉の性感染症は、痛みや腫れが出ないことのほうが多いということです。厚生労働省も、性器から口に感染した場合は無症状のことが多いと説明しています。つまり「喉が痛いから性感染症かもしれない」と考えるより、「喉が痛くなくても感染していることがある」と考えるほうが実態に近いのです。
さらに、性器の検査で陰性だったから喉も大丈夫、とは言えないこともわかっています。Weblioケア編集部では、厚生労働省と日本性感染症学会の資料をもとに、喉の性感染症で起こる症状、扁桃炎や口内炎との見分け方、尿検査で見落とされる理由、喉の検査の受け方を整理しました。
※一般的に『性病』と呼ばれることもありますが、医療現場や公的機関では『性感染症(STI)』と呼びます。本記事では性感染症と表記して解説します。
喉の性感染症は痛みや腫れが出ないことのほうが多い
喉の性感染症は、痛みや腫れが出にくいことが知られています。厚生労働省のQ&Aや日本性感染症学会のガイドライン、関連する臨床論文等でも、淋菌やクラミジアの喉への感染は無症状のケースが圧倒的に多く、診察でも異常が見つかりにくいことが一様に指摘されています。自分が感染していることに気付かないまま、別の相手に感染させてしまうケースが少なくありません。
このように、喉の痛みの有無だけで性感染症かどうかを判断することはできません。『喉が痛くないから性感染症ではない』と言い切れない点が、喉の性感染症の注意点なのです。
喉の性感染症で痛みや違和感が出るときは咽頭炎や扁桃炎と同じ形になる
喉の性感染症は、症状が出にくいものですが、症状が出る場合であっても、喉の性感染症らしい特別な症状があるわけではありません。ガイドラインに書かれている症状は次のとおりです。
- 淋菌:一部の人に咽頭炎や扁桃炎を起こす
- クラミジア:一部の人に喉の奥の鼻に近い部分(上咽頭)の炎症を起こす。10代後半から20代に多く、耳が詰まった感じ、聞こえにくさ、鼻づまり、ときに喉の痛みや首のリンパ節の腫れが出る
- ヘルペス:初めて感染した人の一部に、強い喉の痛み、飲み込むときの痛み、38〜40℃の熱、首のリンパ節の腫れを起こす
喉や口に感染する性感染症は淋菌・クラミジア・梅毒・ヘルペス・HIV
厚生労働省は、オーラルセックスで感染する性感染症として淋菌感染症、クラミジア感染症、ヘルペス感染症、梅毒を挙げています。ガイドラインでは、これにHIVとHPV(尖圭コンジローマの原因ウイルス)を加えた6つが、口や喉を介して感染したり、口や喉に病変を作ったりするとされています。
| 病気 | 喉や口に出るときの主な形 |
|---|---|
| 淋菌 | 多くは無症状。一部で咽頭炎・扁桃炎 |
| クラミジア | 多くは無症状。一部で上咽頭の炎症(耳の詰まり・鼻づまりなど) |
| 梅毒 | 唇・舌・扁桃の痛くないしこり、口の中の白い斑点 |
| ヘルペス | 強い喉の痛みと高い熱、口内炎、唇の水ぶくれ |
| HIV | 口の中のカンジダ症(白い苔のようなもの)など |
それぞれの口の症状は、後半の口内炎・白い斑点の章で詳しく説明します。
喉の痛みが性感染症か扁桃炎・風邪かは見た目では見分けられない
「扁桃炎(扁桃腺の炎症)と性感染症の見分け方」は気になるところですが、実際には喉の見た目や痛み方で区別するのは困難です。
性感染症のガイドラインで性感染症による咽頭炎や扁桃炎に特徴的な所見がなく、ほかの咽頭炎・扁桃炎と診察所見から判別するのは難しく見逃されやすいとしています。医師が喉を診ても区別がつかないということです。淋菌やクラミジアの喉への感染は、特徴的な所見に欠けるため見逃されやすいとも書かれています。
HIVについても、医療機関を転々として、風邪や治りにくい咽頭炎、口内炎と診断されている場合があると記載されています。
扁桃炎と性感染症の見分け方は症状ではなく心当たりのある行為で考える
喉の症状で区別できない以上、判断の手がかりになるのは喉の状態ではなく、感染の機会があったかどうかです。
オーラルセックスの心当たりがあり、喉の不調が続いている場合や、喉に症状がなくても不安がある場合は、検査で確かめるのが確実です。喉の性感染症は痛みがないことのほうが多いので、「痛みが引いたから大丈夫」とも言えません。
セフェム系の抗菌薬で治らない慢性の扁桃炎・咽頭炎の約3分の1はクラミジア
- 一般的な抗菌薬(セフェム系など)が効かない慢性的な喉の不調の背景には、クラミジアが隠れていることがあります。
- 受診する際は、医師に「オーラルセックスの心当たりがある」と必ず伝えてください(伝えることで喉の検査が見落とされにくくなります)。
一般的な抗菌薬(セフェム系など)で治療しても良くならない慢性の扁桃炎・咽頭炎では、その約3分の1にクラミジアが関わっているという報告もあります。
薬を飲んだのに喉の不調を繰り返す場合は、性感染症の可能性も視野に入れて医師に相談してください。その際、オーラルセックスの心当たりがあることを必ず伝えることが重要です。この事実を伝えなければ、喉の性感染症検査が行われないまま見過ごされてしまうおそれがあります。
こうした喉の奥の病変は、見た目だけで判断することは困難です。一方で、唇や口の中にできるものには、性感染症特有の特徴が現れることがあります。
口内炎や口の中の白い斑点・しこりは口の性感染症のことがある
喉の奥だけでなく、唇や舌、口の中にできるものが性感染症のサインになることもあります。ガイドラインでは、梅毒とHIVは口や喉に特徴的な病変が出て、それが診断のきっかけになる場合が少なくないとされています。
痛くないしこりが唇・舌・扁桃にでき2〜3週間で消えるのは梅毒の初期
梅毒の特徴
- 梅毒の初期症状(しこりやただれ)は痛みがなく、数週間で「自然に消えてしまう」のが特徴的です。
- 症状が消えても「治った」わけではありません。放置すると数ヶ月後に全身へ病変が広がります。
梅毒では、感染から約3週間後に、菌が入った場所に小豆大から指先ほどの大きさの暗い赤色のしこりができます。数日後にしこりの中央がくずれて、ただれ(潰瘍)になります。口や喉では、唇・舌・扁桃にできやすいとされています。
特徴は、軟骨のように硬く、痛みがないことです。しこりのある側の首のリンパ節が腫れますが、これも硬く、痛みはありません。
注意が必要なのは、このしこりは2〜3週間で自然に消えることです。しこりが消えても病気が治ったわけではなく、その後は全身に広がり、約3か月後には手のひらや足の裏を中心とした発疹が現れます。痛くないまま消えるので、気付かないうちに次の段階に進んでしまいます。
また、口や喉の梅毒は性器や皮膚に病変がないことが多く、口の病変が梅毒診断のきっかけになることもあります。
口の中の白い斑点は梅毒・カンジダ・HIVで起こる
梅毒が感染から3か月前後の段階(第2期)に入ると、口の中に「粘膜斑」と呼ばれる病変が出ることがあります。最初は赤みとして現れ、少しずつ白く変化しながら広がります。平らでわずかに盛り上がり、青みがかった白色または灰色をしています。扁桃、喉の奥の天井部分(軟口蓋)、のどちんこ、頬の内側、歯ぐき、舌の裏側にできやすいとされています。口の端に白っぽいただれができることもあります。
HIV感染症において、免疫力が低下した段階(進行期)で見られる日和見感染症の一つに、口腔カンジダ症があります。20〜40代などの若い世代で口腔カンジダ症が見られた場合、背後にHIV感染が隠れていないかを疑う契機となります。
ほかにHIVでは、舌の側面にヒダ状の白い病変ができることがあり、これはこすっても取れないのが特徴です。
高い熱と強い喉の痛みを伴う口内炎はヘルペスのことがある
単純ヘルペスウイルスに初めて感染した人の約90%は症状が出ないまま終わり、残りの約10%に口内炎(歯肉口内炎)、咽頭炎・扁桃炎、性器ヘルペスが起こるとされています。10代後半を過ぎると、キスなどの性的な接触で感染する機会が増えます。
ヘルペスによる咽頭炎・扁桃炎は10〜30歳代に多く、次のような特徴があります。
- 喉の痛みと飲み込むときの痛みが強く、食事がとれなくなる人が多い
- 38〜40℃の熱と首のリンパ節の腫れを伴う
- 扁桃に白い苔のようなものが付き、赤く腫れる
- 口や喉に複数の口内炎ができ、唇や歯ぐきの炎症を伴うことが多い
喉の性感染症は症状が出ないことのほうが多いと書いてきましたが、ヘルペスの初感染は例外的に強い症状が出る場合があります。
再発した場合は、主に唇に水ぶくれ(口唇ヘルペス)ができ、痛みやヒリヒリ感など軽い症状で済みます。ただし再発のときも、キスや性行為で相手にうつす感染源になりえます。
喉の痛み・違和感・口内炎で性感染症の検査を考えたいサイン
ここまでの内容を、喉や口の状態から引けるように並べ直しました。どれも、これに当てはまれば性感染症と決まるものではなく、検査で確かめる理由になるものです。
| 喉や口の状態 | 可能性がある性感染症 | 根拠 |
|---|---|---|
| 症状はないが、オーラルセックスの心当たりがある | 淋菌・クラミジア | 喉の感染は無症状が多い(厚生労働省) |
| セフェム系の抗菌薬で治らない扁桃炎・咽頭炎が続く | クラミジア | 治らない慢性例の約3分の1(ガイドライン) |
| 耳が詰まった感じ、聞こえにくさ、鼻づまりがある(10代後半〜20代に多い) | クラミジア | 上咽頭の炎症(ガイドライン) |
| 唇・舌・扁桃に、硬くて痛くないしこりやただれがある | 梅毒(初期) | 2〜3週間で消えるが治ってはいない(厚生労働省・ガイドライン) |
| 扁桃や口の中に、青みがかった白や灰色の平らな斑点がある | 梅毒(感染から3か月前後) | 粘膜斑(ガイドライン) |
| 舌や頬の内側が白い苔のようなもので覆われる | HIVのことがある | 20〜40歳代男性の口のカンジダ症(ガイドライン) |
| 強い喉の痛みで食事がとれず、38〜40℃の熱と口内炎がある | ヘルペス(初感染) | ヘルペスによる咽頭炎・扁桃炎(ガイドライン) |
表の1行目がいちばん多いケースです。喉に何も起きていなくても、感染していることは珍しくありません。そして次の章で見るとおり、性器の検査だけではその感染を見落とします。
喉の性感染症は尿検査だけでは見つからない
男性の性感染症検査でよく使われる尿検査は、尿道、つまり性器の感染を調べる検査です。喉にいる菌は、喉の検体を採らなければ見つかりません。
厚生労働省も、最近は男性なら初尿と喉の検体の両方、女性なら子宮頸管の検体と喉の検体の両方を検査することが多くなっていると説明しています。
性器の淋菌で10〜30%、クラミジアで10〜20%は喉にもいる
厚生労働省のQ&Aでは、性器に淋菌をもっている人の10〜30%、クラミジアをもっている人の10〜20%で、口の中にもこれらの菌が見つかると報告されています。
一方、ガイドラインでは、淋菌が喉に感染していても炎症の症状が乏しい場合が多く、検査が行われないことも多いと指摘しています。性器の感染がわかった人でも、喉は調べられていないことがあるということです。
性器は陰性で喉だけ陽性の人も少なくない
逆に、性器の検査では何も見つからず、喉だけが陽性になる人もいます。
2005年から2009年にかけて、性感染症クリニックで喉と性器の検査を同じ日に受けた854人を調べた研究では、男性のクラミジアを除いて、性器が陰性で喉だけが陽性の淋菌またはクラミジア感染者が少なくないことが確認されています。
この研究の対象は風俗店の利用者や従業者が大半を占める集団で、陽性の割合をそのまま一般の人に当てはめることはできません。それでも、尿検査で陰性だったことは、喉に感染していないことの証明にはならないという点は押さえておいてください。オーラルセックスの心当たりがある場合は、喉の検査を追加するかどうかを検討してください。
喉の性感染症検査はうがい液か綿棒で、淋菌とクラミジアを同時に調べる
喉の淋菌とクラミジアの検査では、うがいをした液か、綿棒で喉をぬぐった検体を使います。ガイドラインでは、淋菌とクラミジアは症状から区別するのが難しく、両方に同時に感染している可能性もあるため、診断のときは2つを同時に検査することが多いです。
医療機関や検査キットによって多少異なりますが、一般的には専用の液や生理食塩水を用いて数十秒ほどうがいを行ったり、綿棒で喉をぬぐったりして検体を採取します。
※検査前の飲食や歯磨きの制限については、受診する医療機関や検査キットの指示に従ってください。
唇や口の中のしこり、白い斑点が気になる場合は、梅毒やHIVなど調べる項目が変わる可能性があります。ご自身の症状は正しく伝えましょう。
喉の性感染症は何科に行けばいいか
- 喉の症状だからといって、いきなり「耳鼻咽喉科」に行くのはおすすめしません(性感染症検査に対応していないことがあるため)。
- 男性なら「泌尿器科」や「性感染症内科」、女性なら「婦人科」が基本になります。
- 受診前に、必ず電話で「喉の淋菌とクラミジアの検査はできますか?」と確認してから行くのが一番確実です。
性感染症は一般的に、男性では泌尿器科か皮膚科、女性では産婦人科で診察されており、口の中の性感染症については耳鼻咽喉科で診察している場合もあります。あらかじめ電話をしてから受診することで検査に対応していない事態を回避することができます。
ガイドラインでも、性器と喉の検査・診断・治療を同時に進めることが重要で、泌尿器科・産婦人科・皮膚科・耳鼻咽喉科が連携して診療にあたることが望ましいとされているため、入り口は非常に重要です。
受診先に迷う場合や、まず相談だけしたい場合は、全国の保健所でも性感染症の相談ができます。「性感染症について相談したい」と伝えましょう。
喉の性感染症は性器より治りにくく、放置するとパートナーにうつす
ガイドラインでは、淋菌は喉に感染したものが性器や直腸に感染したものより除菌されにくいとされています。クラミジアについても、喉に感染したものは性器に感染したものに比べて治療に時間がかかると報告されています。
さらに、性器と喉の両方に感染していた人では、性器の淋菌が消えても喉の淋菌が残っている例が少なくないとも書かれています。性器の治療が終わっても、喉に残った菌が感染源になりうるということです。
喉の性感染症は症状が出ないことが多いため、放置されやすく、そのあいだに気付かないまま相手の性器にうつしてしまいます。これが、症状がなくても検査を受ける意味です。
喉の性感染症の治療のあとは期間をあけて再検査し、治ったことを確かめる
喉の感染は性器の感染の原因にもなるため、治療後は再検査をして治ったことを確認する必要があります。
ただし、治療が終わってすぐに検査を受けると死んだ菌に反応して陽性と出ることがあり、うまく効果判定できません。そのため、淋菌もクラミジアも、治療が終わってから2週間以上あけて再検査するとされています。症状が消えたことで治ったと判断せず、医師の指示どおりに再検査を受けてください。
キスで喉の性感染症はうつるか
厚生労働省のQ&Aでは、パートナーの口の中に淋菌やクラミジアがいたとしても、通常のキス程度であれば感染が成立するほどの接触にはならないため、感染のリスクは低いとされています。
一方で、ヘルペスのように皮膚と皮膚の接触でうつるものは、キスで皮膚が触れることで感染する可能性があります。唇や口のまわりに異変を感じるときは、オーラルセックスを含めた性行為を控え、早めに医療機関を受診することが勧められています。
予防については、男性用コンドームを陰茎に着けることや、女性の性器にラップなどを使うことで、オーラルセックスによる感染のリスクを低くできます。ただしヘルペスのように皮膚の接触でうつるものは、それだけでは防ぎきれない場合があります。
医師コメント
アメリカの疾病予防センター等によると、「キスによる感染は完全には否定できない」とされています。厚生労働省の見解についても、「感染リスクは高くないが、ゼロではない」ということに注意しましょう。感染の疑いがある相手と深くキスをした場合は、オーラルセックスの心当たりがなくても検査を検討することをお勧めします。
喉の性感染症について参照した公的資料
この記事は、次の資料の記載にもとづいて作成しています。特定のクリニックが公開している検査データは使用していません。
- 厚生労働省「オーラルセックス(口腔性交)による性感染症に関するQ&A」
- 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン2016」(学会が公開している2016年版を参照しています。最新版は2026年版です)
- 余田敬子ほか「淋菌およびクラミジアの咽頭および性器感染:性感染症クリニック受診者からみた現状」口腔・咽頭科 23巻2号(2010年)
- 国立健康危機管理研究機構「クラミジア咽頭感染の実情」IASR Vol.25(2004年)
- Oropharyngeal Gonorrhea in Absence of Urogenital Gonorrhea in Sexual Network of Male and Female Participants, Australia, 2018(Emerging Infectious Diseases Vol.25 No.7)
喉や口の症状から病気を特定することはできません。気になる症状がある場合や感染の心当たりがある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

