禁煙外来オンライン診療の料金を点数から計算した 保険は5,391円、オンラインなら4,446円【2026年最新】

禁煙外来の費用は「保険3割で1万3,000〜2万円」と書かれていることが多いのですが、この幅はどこから来ているのでしょうか。診療報酬には公定価格があり、禁煙治療は12週間で5回と回数まで決まっています。つまり計算すれば、幅ではなく実額が出ます

Weblioケア編集部は、令和8年度診療報酬改定後の点数表と薬価をもとに、12週間・計5回の禁煙治療にかかる金額を1回ずつ積み上げて計算しました。結果を先に書きます。診察にかかる自己負担(3割)は全5回を対面で受けると5,391円、2〜4回目をオンラインで受けると4,446円です。オンラインのほうが945円安くなります。

「オンラインは自費だから高い」という説明をよく見かけますが、それは初診から完結する自由診療の話です。保険の禁煙治療でオンラインを使う場合は、逆に安くなります。以下、その理由と計算の中身を示します。

目次

保険の禁煙外来は12週5回でいくらか、点数から積み上げた

禁煙治療の保険適用は「ニコチン依存症管理料」という枠組みで行われます。医科点数表の区分番号B001-3-2に定められた点数は次のとおりです(令和8年6月1日施行)。

算定区分 点数
ニコチン依存症管理料1 イ 初回 230点
同 ロ 2回目から4回目まで(対面で行った場合) 184点
同 ロ 2回目から4回目まで(情報通信機器を用いた場合) 155点
同 ハ 5回目 180点
ニコチン依存症管理料2(一連につき) 800点

これに初診料291点、再診料76点、院外処方の場合は処方箋料60点(F400の「3」)が加わります。1点は10円です。

全5回を対面で受けた場合の内訳

標準的な治療スケジュールは初回・2週目・4週目・8週目・12週目の5回で、薬は初回から4回目までの4回に分けて処方されます。5回目は最終判定のみで処方はありません。

内訳 点数
初回 初診料291+管理料230+処方箋料60 581点
2回目(2週目) 再診料76+管理料184+処方箋料60 320点
3回目(4週目) 再診料76+管理料184+処方箋料60 320点
4回目(8週目) 再診料76+管理料184+処方箋料60 320点
5回目(12週目) 再診料76+管理料180 256点
合計   1,797点=17,970円

3割負担なら5,391円です。これが診察側の自己負担で、薬代は別にかかります。

オンラインを使うと自己負担はむしろ下がる

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

保険の禁煙治療では、2回目から4回目までの3回を情報通信機器(ビデオ通話)で受けられます。初回と最終回は対面が必要です。このとき算定される点数は155点で、対面の184点より29点低くなります。

さらに見落とされやすいのが、点数表の注3です。情報通信機器を用いた場合を算定するときは、再診料を別に算定できないと定められています。つまりオンラインの回は、再診料76点がまるごと消えます。

2〜4回目の1回あたり 対面 オンライン
再診料 76点 算定しない
ニコチン依存症管理料1 ロ 184点 155点
処方箋料 60点 60点
小計 320点 215点

1回あたり105点、3割負担で315円の差です。これが3回分あるので945円になります。

  全5回対面 2〜4回目オンライン
合計点数 1,797点 1,482点
10割 17,970円 14,820円
3割負担 5,391円 4,446円

交通費と移動時間を別に考えても、金額そのものが下がります。「オンラインは便利だが割高」という前提は、保険の禁煙治療には当てはまりません。

ただし条件があります。オンラインで受けるには、その医療機関が情報通信機器を用いた診療の体制を届け出ている必要があります。禁煙外来を掲げていても、オンラインの対象が禁煙外来かどうかは公式サイトに書かれていないことが多いため、予約前の確認が要ります。対応している医療機関は禁煙外来のオンライン診療おすすめ比較16院で整理しています。

薬代はチャンピックス12週分で21,811円と決まっている

診察料とは別に、薬剤費がかかります。こちらも薬価が公定なので計算できます。

チャンピックス(バレニクリン)の用法は電子添文に定められており、第1〜3日目は0.5mgを1日1回、第4〜7日目は0.5mgを1日2回、第8日目以降は1mgを1日2回、投与期間は12週間です。12週間は84日なので、必要な錠数は次のように確定します。

期間 用法 錠数 薬価 金額
1〜3日目 0.5mg 1日1回 3錠 77.5円/錠 852.5円
4〜7日目 0.5mg 1日2回 8錠
8〜84日目 1mg 1日2回 154錠 136.1円/錠 20,959.4円
合計   0.5mg 11錠+1mg 154錠   21,811.9円

3割負担で約6,544円です。実際には薬局で調剤技術料・薬学管理料が加わるため、これより数百円から千円ほど上振れします。

この錠数構成は、自費のクリニックが公表しているプログラム内容とも一致します。フィットクリニックの12週間禁煙プログラムは「0.5mg 11錠+1mg 154錠」で、標準用法どおりです。薬の量そのものは保険でも自費でも変わりません。

薬剤料には算定できない場合がある

電子添文の「保険給付上の注意」には、チャンピックスの薬剤料はニコチン依存症管理料の算定に伴って処方された場合に限り算定できると書かれています。処方箋の備考欄にその旨の記載も必要です。

この注記が指しているのは2つのケースです。ひとつは、12週間で禁煙に成功した人が再発予防のためにさらに12週間延長投与する場合(用法及び用量に関連する注意の7.3)。もうひとつは、12週間で禁煙できなかった人や、いったん禁煙したあとに再喫煙した人が、もう一度チャンピックスで治療を受ける場合(同7.4)です。

電子添文の25.1は、この7.3と7.4にあたる処方について薬剤料を算定できないと明記しています。延長分も再挑戦分も、薬代は自費になります。

延長投与のほうは知られていますが、再挑戦のケースも同じ扱いだという点は見落とされがちです。一度目でうまくいかなかった人がもう一度受けるとき、診察の側と薬の側で扱いが分かれます。

診察料と薬代を合わせた保険の総額

  全5回対面 2〜4回目オンライン
診察側(3割) 5,391円 4,446円
薬剤費(3割・調剤技術料を除く) 約6,544円
合計の目安 約11,900円 約11,000円

これに薬局の調剤技術料等が加わるので、実際の窓口負担は1万2,000円から1万4,000円あたりに収まります。よく見かける「1万3,000〜2万円」という幅の下限側と一致し、上限の2万円に届くのは、ニコチンパッチを併用する場合や再診料以外の加算が重なる場合です。

一括で払うニコチン依存症管理料2という選択肢

点数表にはもうひとつ、ニコチン依存症管理料2という区分があります。5回分をまとめて一連につき800点で算定する方式で、初回に一括で算定します。

管理料1が受診の日ごとに算定して合計962点(230+184×3+180)になるのに対し、管理料2は800点です。162点、3割で486円の差があります。

ただし、どちらを算定するかは医療機関が決めるもので、患者が選べるものではありません。また管理料2を算定する場合も、2回目から4回目の指導を情報通信機器で行うことは認められています。金額の差より、自分が通う医療機関がどちらで算定しているかを知っておくことのほうが実務的です。

自費のオンライン診療は12週で36,295円から45,980円

ここまでは保険の話です。初診からオンラインだけで完結する自由診療は、保険が使えないぶん金額が変わります。編集部が各院の公式サイトを一次確認した4院の、12週間の実額は次のとおりです。

薬代 診察料 配送料 12週の実額
フィットクリニック 35,910円 0円 385円〜 36,295円〜
DMMオンラインクリニック 42,680円 0円 550円×2回 43,780円
クリニックフォア 43,780円 1,650円(決済歴ありで0円) 550円 45,980円
デジタルクリニック 43,780円 初診1,650円・再診0円 550円 45,980円

保険の約1万2,000円と比べると、3.0倍から3.8倍です。差額はおよそ2万4,000円から3万4,000円になります。

差額が何の対価なのか

この差は、薬が違うから生じているわけではありません。有効成分はどちらもバレニクリンです。差額の中身は次の3つです。

  • 保険給付がないこと。保険なら7割は公費と保険者の負担になりますが、自由診療は全額が自己負担です。
  • 保険適用の条件を満たさなくてよいこと。TDS5点以上、35歳以上ならブリンクマン指数200以上、前回の保険治療から1年以上経過、といった要件が不要です。要件を満たさない人にとっては、そもそも保険という選択肢がありません。
  • 初回から通院しなくてよいこと。保険では初回と最終回に必ず来院が必要です。自由診療なら5回すべてが自宅で完結します。

逆に言えば、保険の要件を満たしていて、初回と最終回に通える人にとっては、自由診療を選ぶ金銭的な理由はありません。

自治体の助成を使うと保険はさらに下がる

区市町村によっては、禁煙外来の治療費助成を実施しています。上限額と申請の順序は自治体ごとに異なり、治療を始める前の申請を必須とするところと、治療中でも登録できるところがあります。

上限が1万円から2万円に設定されている自治体では、保険の自己負担(約1万2,000円)がほぼ相殺されます。足立区の卒煙チャレンジ支援事業のように、指定協力医療機関で受けることが条件になっている例もあるため、医療機関を決める前に自治体の制度を確認するのが順序として正しくなります。

助成の有無と条件は禁煙外来のオンライン診療おすすめ比較16院の各院の項でも触れています。

費用に関するよくある質問

禁煙外来の費用はタバコ代と比べてどのくらいですか

1日1箱600円として12週間(84日)吸い続けると50,400円です。保険の自己負担が約1万2,000円なので、治療期間中のタバコ代だけで4倍以上になります。自費の4万円台と比べても、タバコ代のほうが高くなります。

途中でやめたら費用はどうなりますか

保険は受診の日ごとに算定するため、途中でやめればその時点までの分で止まります。ただし前回の保険治療の初回診察日から1年以内は再度の保険適用が認められないため、やり直すなら自費になります。自費のプログラムは前払いのプランが多く、返金の条件は院によって異なります。

ニコチンパッチを選ぶと安くなりますか

診察側の点数は薬剤にかかわらず同じです。差が出るのは薬剤費のみで、貼付薬のニコチネルTTSは8週間の設計なので、12週間のチャンピックスとは投与期間そのものが異なります。単純な比較にはなりません。

加熱式タバコでも保険は使えますか

使えます。ニコチン依存症管理料の対象は喫煙者であり、加熱式タバコの使用者も含まれます。

この記事で参照した一次資料

点数と薬価は改定により変わります。この記事は2026年9月2日時点の告示に基づいて計算しており、実際の請求額は医療機関の届出状況・加算・薬局の調剤報酬によって前後します。

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