フルミストのデメリット7つと危険性:鼻水は約6割、死亡報告の中身、国内試験の効果と値段まで

※この記事は広告を含みます。掲載している料金は各院の公式サイトで確認したものです。

鼻にスプレーするだけで、注射がいらないインフルエンザワクチン「フルミスト」。子どもに受けさせようと調べてみたら、検索候補に「デメリット」「危険性」「死亡」と並んでいて、手が止まった人も多いのではないでしょうか。

先に答えを書きます。フルミストのいちばん大きなデメリットは、受けた子の約6割に鼻水や鼻づまりが出ることです。死亡の報告は、日本で使われ始めてからの2シーズンで1件ありました。ただ、報告した医師自身がワクチンとの関係を「評価不能」としています。

では、効果はどうなのか。国内の試験では、インフルエンザの発症が28.8%減りました。この数字は高いのか、低いのか。この記事では、2026年8月に改訂された最新の添付文書と、厚生労働省の審議会資料を読み、デメリット、危険性、効果、値段の順に確かめていきます。

目次

フルミストとは:鼻にスプレーする生ワクチン、2歳から18歳まで1回だけ

フルミストは、第一三共が2024年10月に発売した、日本で初めての鼻から入れるインフルエンザワクチンです。左右の鼻に1回ずつスプレーし、接種はそれで終わりです。

注射のワクチンとの大きな違いは3つあります。

  • 受けられるのは2歳以上19歳未満だけ
  • 年齢にかかわらず1シーズン1回で済む(注射は13歳未満なら2回)
  • 弱めたウイルスをそのまま使う「生ワクチン」である

2026/27シーズンのフルミストには、A型2種類とB型1種類の計3つの株が入っています。注射のワクチンも2025/26シーズンから3種類の株に変わったので、カバーする型の数は同じです。

針の痛みがない、1回で済む。この2つがフルミストのメリットです。ここだけ見ると良いことずくめですが、3つ目の「生ワクチン」という性質が、これから挙げるデメリットの多くにつながっています。

フルミストのデメリット7つ

1.副反応で鼻水・鼻づまりが約6割に出る

添付文書によると、国内の臨床試験でフルミストを受けた608人のうち、67.9%に何らかの副反応が出ました。いちばん多いのが鼻水・鼻づまりで59.2%です。

副反応 出た割合
鼻水・鼻づまり 59.2%
せき 27.8%
のどの痛み 17.9%
頭痛 11.2%
発熱、食欲が落ちる、下痢、腹痛、だるさなど 1〜10%未満
発疹、鼻血、胃腸炎、中耳炎など 1%未満

弱めたウイルスが鼻の粘膜で増えて免疫をつくるので、軽い風邪のような症状が出やすいのです。いまネットで見かける「30〜40%に風邪症状」という数字は、主に以前の資料のものです。最新の添付文書の数字では、鼻の症状はもっと多く出ています。

試験の前や発表会の前など、子どもの鼻水を避けたい予定がある場合は、日程をずらして受けるのが無難です。

2.2歳未満と19歳以上は受けられない

対象は2歳以上19歳未満です。1歳の弟や妹、浪人中の19歳、親は受けられません。家族で同じワクチンにそろえたいなら、注射を選ぶことになります。なぜこの年齢なのかは、後半の「年齢制限の理由」で説明します。

3.受けたあと1〜2週間は、免疫の弱い人や赤ちゃんとの接触に気をつける

生ワクチンなので、受けた子の鼻からワクチンのウイルスが出て、周りの人にうつる可能性があります。添付文書は、受けた後1〜2週間は重い免疫不全の人と密に接することをできるだけ避けるよう求めています。授乳中の人がフルミストを受けた場合(授乳中の19歳未満を想定)は、1〜2週間は乳児との接触をできるだけ控えることとされています。

家族に抗がん剤治療中の人や、免疫を抑える薬を飲んでいる人がいる場合は、受ける前に医師に伝えてください。

4.喘息や、卵・ゼラチンのアレルギーがある子は注意が必要

添付文書では、重い喘息がある子、ゼーゼーする症状がある子、ゼラチンや卵・鶏肉にアレルギーのおそれがある子は、「接種要注意者」とされています。受けられないわけではありませんが、医師が慎重に判断します。発熱している子、免疫を抑える治療を受けている子、妊娠している人は受けられません。

5.一部の薬と一緒に使えない

次の薬は、フルミストとの組み合わせに注意が必要です。

  • タミフル、リレンザ、イナビルなどの抗インフルエンザ薬:フルミストの効果が得られないおそれがある
  • アスピリンなどのサリチル酸系の薬、ジクロフェナク、メフェナム酸:ライ症候群があらわれるおそれがある
  • ステロイド(プレドニゾロンなど)や免疫抑制剤:併用禁忌(一緒に使えない)

抗インフルエンザ薬との関係は、家族がインフルエンザにかかったときに問題になります。最後の「家族がインフルエンザになったら」で詳しく扱います。

6.注射より値段が高い

フルミストは予防接種法の定期接種ではないので、全額自費です。1回7,000〜10,000円ほどが目安で、注射の倍以上になる医療機関もあります。ただし、13歳未満は注射だと2回かかるので、差は縮まります。詳しくは後半の「値段」で比べます。

7.扱っていない医療機関がある

フルミストは、注射のワクチンほどどこでも受けられるわけではありません。たとえば、たかみこどもクリニックは、2026年度も「フルミストは実施しない」と告知しています。扱っている医療機関でも、接種日を限定していることがあります。予約の前に、扱いがあるかを電話やサイトで確かめておくと確実です。

ここまでは、副反応や手間の話でした。では、検索候補に出てくる「死亡」は、実際にどれくらい報告されているのでしょうか。

フルミストの危険性:死亡の報告は2シーズンで1件、その中身

「フルミスト 死亡」と検索すると、不安をあおる書き込みも目に入ります。ここでは、厚生労働省の副反応検討部会に提出された資料(2026年7月24日)に書かれていることだけを整理します。

2024/25シーズン:推定37万人が受けて、死亡の報告は0件

発売最初のシーズンは、推定で約37万人がフルミストを受けました。医療機関とメーカーから副反応の疑いとして報告された例のなかに、死亡はありませんでした。

2025/26シーズン:報告26件のうち、死亡は1件

2025年10月から2026年3月までに、副反応の疑いとして26件が報告されました。内訳は医療機関から16件、メーカーから10件です。このシーズンの出荷量は、接種可能な回数でみて約103万回分でした。

このうち死亡は1件です。7歳の女の子で、2025年11月27日に接種し、12月27日に亡くなっています。報告された症状は脳症、もともとの病気としてアトピー性皮膚炎が記載されています。報告した医師の評価は、ワクチンとの関係が「評価不能」です。

報告がある=ワクチンが原因、ではない

副反応疑い報告は、「接種のあとにこういうことが起きた」という例を広く集める仕組みです。資料にも、報告は個々に医薬品との関連性を評価したものではない、と注記されています。原因がワクチンだと確定した死亡は、この資料からは読み取れません。

一方で、重い副反応としては、ショックやアナフィラキシーが添付文書に載っています(頻度は不明)。

危険性の中身がわかったところで、次に気になるのは「そこまでして受ける価値はあるのか」、つまり効果です。

フルミストの効果:国内の試験では、発症が28.8%減った

国内試験の中身:100人あたり36人が26人に

添付文書に載っている国内の第Ⅲ相試験では、2歳以上19歳未満の健康な子ども910人を、フルミストを受けるグループと、有効成分の入っていない偽薬を受けるグループに分けました。

グループ インフルエンザを発症した人
フルミスト 595人中152人(25.5%)
偽薬 290人中104人(35.9%)

100人あたりに直すと、偽薬では36人ほどが発症したのに対し、フルミストでは26人ほどでした。発症するリスクが28.8%減った計算です。

「3割しか防げないのか」と感じたかもしれません。ただ、この試験は流行のシーズンの実際の発症を数えたもので、注射のワクチンでも予防効果は100%にはなりません。それに、この試験はフルミストと偽薬を比べたものです。フルミストと注射を直接比べた結果は、日本の添付文書には載っていません。

注射とどっちが効くのか

海外には、両方を直接比べた試験があります。アメリカの添付文書によると、生後6か月から5歳未満の子どもを対象にした試験では、フルミストのグループのほうが、注射のグループよりインフルエンザの発症が44.5%少なくなりました。

一方で、アメリカでは逆のことも起きています。

「フルミストは効かなくなった」と言われる理由

アメリカの予防接種諮問委員会(ACIP)は、2016/17と2017/18の2シーズン、フルミストを使わないよう勧告しました。2013/14と2015/16のシーズンに、H1N1型のウイルスへの効果が低かったためです。その後、H1N1型の成分を入れ替え、2018/19シーズンから再び選択肢に戻されました。

「効かなくなった」という話は、このアメリカでの一時的な勧告停止を指していることが多いのです。どのワクチンも、その年に流行する型と合うかどうかで効き方が変わります。フルミストは、それが一度はっきり表に出たワクチンだということです。

フルミストを受けたのにインフルエンザにかかったのはなぜ

国内の試験でも、フルミストを受けた595人のうち152人が発症しています。ワクチンは、発症する人を減らすものであって、ゼロにするものではありません。かかった場合でも、受けたことが無駄だったとは言い切れません。

フルミストの効果はいつから、いつまで続くのか

公立佐賀中央病院小児科の案内では、免疫ができるまでに約2週間かかり、効果は約6か月〜1年(1シーズン)続くと考えられています。注射のワクチンについて厚生労働省は、効果が期待できるのは接種の2週間後から5か月程度まで、としています。

どちらのワクチンも、受けてすぐ効くわけではありません。インフルエンザの流行が本格化する前に効き始めるよう、秋のうちに受けておくのが基本です。流行が始まってから受ける場合は、効き始めるまでの約2週間が空白になります。その間に家族がかかったときの備えは、最後の「家族がインフルエンザになったら」で説明します。

フルミストの年齢制限の理由:2歳未満と19歳以上が受けられないわけ

2歳未満:海外の試験で、入院とゼーゼーが増えた

日本の添付文書にも、海外の試験で2歳未満の子に入院と喘鳴(ゼーゼーする呼吸)のリスクが高まったと書かれています。アメリカの添付文書に載っている、生後6〜23か月の子を対象にした試験の数字は次のとおりです。

生後6〜23か月 フルミスト 注射
入院 4.2% 3.2%
喘鳴 5.9% 3.8%

生後6〜11か月に絞ると、入院は6.1%と2.6%で、2倍以上の差がありました。小さい子ほどリスクが大きく出たことが、2歳未満を外している理由です。

19歳以上:日本の試験が18歳までだった

日本でフルミストの効果と安全性を確かめた国内試験は、2歳以上19歳未満が対象でした。承認された年齢も、その範囲です。

アメリカでは49歳まで受けられますが、アメリカの添付文書を見ると、18〜49歳の試験では主な評価項目で効果が示されず、50〜64歳でも効果は示されていません。大人にとっては、注射を上回る理由がはっきりしないワクチンだといえます。

年齢の条件を満たしていても、迷うのは最後に値段です。注射とどれくらい違うのでしょうか。

フルミストの値段:1回7,000〜10,000円ほど、助成で下がる自治体も

フルミストは自費なので、医療機関ごとに値段が違います。公開されている例を挙げます。

医療機関・自治体 フルミスト 注射
医療機関のコラムでの目安(2026年9月) 1回7,000〜10,000円程度 1回3,000〜4,500円程度
森川小児科(神戸市、2025年度の記載) 1回8,500円、神戸市の助成対象(2〜12歳)なら6,500円 –
東京都港区の助成(2026年度) 9,000円を助成(4,500円から増額) 1回4,500円を助成

注射は13歳未満だと2回受けるので、たとえば1回4,000円なら合計8,000円です。フルミスト1回9,000円と比べると、差は1,000円ほどにとどまります。通院が1回で済むことまで含めると、小学生以下では値段の差はあまり大きくありません。

港区のように、フルミストの助成額を注射2回分にそろえる自治体も出てきています。お住まいの市区町村が子どものインフルエンザ予防接種を助成しているか、フルミストも対象になるかを、自治体のサイトで確かめてみてください。

フルミストと注射、どっちを選ぶか:向いている子と向いていない子

ここまでのデメリット、効果、値段を、子どもの状況ごとにまとめ直すと次のようになります。

子どもの状況 向いているのは 理由
注射をひどく怖がって、予防接種そのものを嫌がる フルミスト 針を使わない
13歳未満で、2回通院するのが負担 フルミスト 1回で済み、注射2回分と値段の差も小さい
喘息がある、ゼーゼーしやすい 注射 フルミストでは接種要注意者になる
家族に重い免疫不全の人や赤ちゃんがいる 注射 フルミストは受けた後1〜2週間、接触に配慮が必要
受けてから数日以内に、試験や発表会がある 注射 フルミストは約6割に鼻水・鼻づまりが出る
家族がインフルエンザにかかりそうで、予防投与を受けるかもしれない 注射 抗インフルエンザ薬がフルミストの効果を下げるおそれがある
19歳以上、または2歳未満 注射 フルミストの対象外

どちらを選んでも、受けておしまいではありません。最後に、家族がかかったときのことを見ておきます。

家族がインフルエンザになったら:フルミストと抗インフルエンザ薬の関係

フルミストを受けてまもなく家族がインフルエンザになった。あるいは、まだ受けていないうちに家族がかかった。こんなとき、家族の看病をする人や、試験を控えた子に抗インフルエンザ薬を飲ませる「予防投与」という選択肢があります。

ここで、デメリット5で触れた注意点が関わってきます。フルミストの添付文書は、タミフルなどの抗インフルエンザ薬を「本剤の効果が得られないおそれがある」薬としています。何日空ければよいかは、日本の添付文書には書かれていません。予防投与を相談するときは、フルミストを受けた日を医師に伝えてください。

もう一つ知っておきたいのは、19歳以上の親や浪人生はそもそもフルミストを受けられないことです。注射も間に合わなかった大人が、家族の発症をきっかけに身を守る手段は、予防投与になります。予防投与は保険がきかず、薬は家族と接してから48時間以内に飲み始める必要があります。料金や、オンライン診療で今日のうちに受けられる先は、タミフルの予防投与は自費でいくら?ゾフルーザ・イナビルとの違いで比べています。

フルミストでよくある質問

フルミストは痛い?

針を使わず、鼻にスプレーするだけなので、注射の針の痛みはありません。注射が怖くて予防接種を嫌がる子にとっては、これがいちばんのメリットです。

スプレーのあとに鼻をかんだり、くしゃみをしたりしたら?

カナダのブリティッシュコロンビア州疾病管理センター(BCCDC)の資料は、接種直後にくしゃみをしても打ち直しはしない、鼻をかんだりくしゃみをしたりしても免疫には影響しない、としています。気になる場合は、接種した医師に確認してください。

大人はフルミストを受けられる?

日本では受けられません。対象は19歳未満です。大人は注射のワクチンになります。

フルミストで下痢や鼻血が出ることはある?

あります。添付文書では、下痢は1〜10%未満、鼻血は1%未満とされています。続く場合や、ほかの症状をともなう場合は、接種した医療機関に相談してください。

確認日と情報源

この記事の情報は2026年10月19日に確認しました。値段や助成の内容は変わることがあるので、受ける前に医療機関と自治体の最新の案内を確かめてください。

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