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食事を減らして、運動もしている。最初は順調に減っていたのに、ある時期から体重計の数字がまったく動かない。頑張っているのに痩せないとき、「自分のやり方が間違っているのでは」「代謝が落ちたのでは」と不安になるものです。
ところが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」のエネルギーの章を読むと、停滞期は失敗のサインではなく、計算上、必ず来るものとして説明されていました。国の試算では、食べる量を1日100kcal減らし続けても、体重は1年で5kg以上減るどころか、約2kg減ったところで止まるのです。
この記事では、体重が減らない期間ごとの原因の見分け方、国の基準が示す停滞期の仕組みと抜け方、食べてないのに痩せない・年齢で痩せにくくなる理由を数字で解説し、病気や薬、マンジャロでも痩せないケースまで整理します。
体重が減らない原因は「何週間減らないか」で見分ける
体重が減らないとき、まず確かめたいのは「いつから減っていないか」です。減らない期間の長さで、考えられる原因はかなり絞れます。
期間別の早見表
| 減らない期間 | 考えられる主な原因 | やること |
|---|---|---|
| 数日〜2週間 | 体の水分の増減、生理の周期、筋トレを始めた直後の変化、食べたものの重さ | 気にせず続ける。週の平均で見る |
| 1〜数か月 | 停滞期(体重が減るにつれて消費エネルギーも減る) | 減らすエネルギー量を設定し直す |
| 数か月以上ずっと | 食べている量の見積もり違い、年齢による基礎代謝の変化、病気や薬 | 記録で食べた量を確かめる。病気や薬を疑う |
※目安です。個人差があります。
数日から2週間ほど体重が動かないのは、ダイエットが失敗しているサインではありません。女性は生理前から生理中に水分をため込みやすく、筋トレを始めた直後も一時的に体重が増えることがあります。この段階で「痩せない」とあきらめるのは、判断するにはまだ早すぎます。
体重は毎日上下する、週の平均で見る
体重は、食べたものや飲んだものの重さ、汗や尿で出ていく水分、便の量などで、脂肪が変わっていなくても1日に1kg前後動くことがあります。毎日の数字に一喜一憂するより、同じ条件(朝起きてトイレのあと、など)で量り、1週間の平均で比べるほうが、本当の変化をつかめます。ウエストのサイズや服のゆるさも一緒に記録しておくと、体重計だけに振り回されずに済みます。
では、何週間も、何か月も体重が止まったままのときは、何が起きているのでしょうか。
ダイエットの停滞期は計算上必ず来る 国の基準の試算
「日本人の食事摂取基準」のエネルギーの章には、食べる量を減らしたときに体重がどう変わるかを、理論的に計算した例が載っています。
1日100kcal減らすと、単純計算では1年で5.2kg、実際は約2kgで止まる
計算例は、体重76.6kg、1日に2,662kcalを消費している人が、食べる量を1日100kcalだけ減らした場合です。
| 考え方 | 1年後の予想 |
|---|---|
| 単純計算(脂肪1gを約7kcalとして、100kcal×365日=36,500kcal分) | 約5.21kg減る |
| 体重が減るにつれて消費エネルギーも減ることを考えた計算 | 約2.0kg減ったところで止まる |
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準」エネルギーの章の計算例(図5)より。
単純計算なら1年で5kg以上減るはずが、実際には約2kgで減らなくなります。基準はこの点を「settling point」と呼んでいて、そこでは体重は減少しなくなり、そのまま維持されるとしています。つまり、同じ食事と運動を続けているのに体重が止まるのは、やり方が間違っているからではなく、そういう仕組みだからです。
減り方が緩やかになるのは、体重が減ると消費も減るから
なぜ止まるのでしょうか。体重が減ると、その体を維持するのに必要なエネルギーも減ります。最初は100kcalの差があっても、体重が減るにつれて消費量が下がり、差がだんだん縮んでいきます。基準は、そのため時間の経過に対する体重の減少率は徐々に緩やかになり、やがて体重は減少しなくなると説明しています。
さらに基準は、体重が減るにつれて食事制限そのものが緩みやすいことも指摘しています。大きな減量を目指して厳しい制限を始めても、制限は減量とともに緩み、約100kcal/日の制限、2kg程度の減量に落ち着くと考えられる、としています。
運動の効果も6か月で頭打ち、変化の半分に約1年
停滞期は、運動でも起こります。基準が紹介している、運動で体重を減らそうとした試験をまとめた解析では、4か月以下では運動量に応じて体重が減るものの、6か月以上では減る量が頭打ちになることが観察されています。
また、この計算のもとになったHallらの研究(Lancet、2011年)は、食べる量を変えたときの体重の反応はゆっくりで、変化の半分に達するまでに約1年かかるとしています。体脂肪が多い人ほど同じ量を減らしたときに減る量は大きいものの、落ち着くまでにはより長い時間がかかります。停滞期がいつ来るか、いつまで続くかに決まった日数がないのは、このためです。
ダイエットの停滞期の抜け方 計画を定期的に立て直す
では、停滞期に入ったらどうすればよいのでしょうか。国の基準の答えはシンプルで、一定期間ごとに体重を測り、その都度、減らすエネルギー量を設定し直すことを勧めています。体重が減った分、以前の食事量ではもう「減らしている」ことにならないからです。
基準によると、体重を減らす介入試験の期間は平均でおよそ4か月でした。まずは3〜4か月を1つの区切りとして、週の平均体重が下がらなくなったら、今の体重に合わせて食事の量を見直す、というサイクルを回すのが現実的です。ただし、停滞期に食事を極端に減らすのは逆効果になりやすく、筋肉も落ちやすくなります。たんぱく質が足りているか、睡眠がとれているかもあわせて見直しましょう。
停滞期を「抜ける前兆」を探すより、停滞期は来るものと考え、そこから計画を立て直すほうが、結果的に長く続けられます。
食べてないのに痩せない・年齢で痩せにくくなる理由
停滞期とは別に、最初からなかなか減らない、何か月も増えていく、という場合もあります。ここにも、国の基準で説明できることがあります。
推定のカロリーには100〜200kcalの誤差がある
「食べてないのに太る」と感じるとき、よく使われる「1日に必要なカロリー」の目安そのものに誤差があります。基準は、3種類の方法で必要なエネルギー量を推定して比べると100〜200kcal程度の差があり、推定式にはそのくらいの誤差がありうると理解すべきだとしています。成人男性では、消費エネルギーにおよそ200kcal/日の個人差があるとも報告されています。
先ほどの計算のとおり、1日100kcalの差が体重を約2kg動かします。アプリで計算した「目標カロリー」どおりに食べているつもりでも、その目標自体が自分には100kcal多いだけで、体重は減らなくなります。飲み物や調理の油、少しずつつまむお菓子を含めて数日間記録し、実際の体重の動きを見ながら量を調整してください。
基礎代謝は50代で、体重1kgあたり約5%下がる
基準には、年代別の基礎代謝基準値(体重1kgあたり1日に使うエネルギー)が載っています。
| 年齢 | 女性(kcal/kg/日) | 男性(kcal/kg/日) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 22.1 | 23.7 |
| 30〜49歳 | 21.9 | 22.5 |
| 50〜64歳 | 20.7 | 21.8 |
| 65〜74歳 | 20.7 | 21.6 |
| 75歳以上 | 20.7 | 21.5 |
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の基礎代謝基準値(表3)より。
女性は30〜40代から50代にかけて、体重1kgあたりの基礎代謝が約5%下がります。体重55kgなら1日60kcalほどです。わずかに見えますが、先ほどの計算に当てはめれば、同じ食事を続けても体重が少しずつ増えていく差です。更年期以降に「以前と同じ食べ方で痩せない」のは、努力不足ではなく、体の条件が変わっているためです。筋トレで筋肉を保つことは役立ちますが、食事の量の見直しとセットで考えることが大切です。
産後に基礎代謝は増えない
産後は授乳でエネルギーを使うため痩せやすい、と思われがちです。しかし基準によると、出産後に基礎代謝がはっきり増えることは確認されていません。基準は授乳中のエネルギーを計算する際、産後の体重減少を月0.8kg程度として扱っています。睡眠不足や運動する時間のなさも重なる時期なので、産後に思うように体重が戻らなくても、焦りすぎないでください。
病気や薬で痩せないこともある
食事の量を確かめても、どうしても痩せない、むしろ増えていく場合は、病気や薬が関わっている可能性もあります。代表的なのが甲状腺機能低下症で、体重の増加のほか、疲れやすい、寒さに弱くなる、便秘、顔のむくみなどが起こります。血液検査で調べられるので、思い当たる症状が重なるなら内科で相談してください。
また、抗うつ薬や抗精神病薬、ステロイドなど、体重を増やしやすい薬もあります。薬を飲み始めてから増えたと感じても自己判断でやめず、処方した医師に体重の変化を伝えて相談しましょう。
マンジャロでも痩せない人はいる
生活を見直しても痩せない場合に、GLP-1などの薬を検討する人もいます。ただ、薬を使っても全員が同じように痩せるわけではありません。
マンジャロと同じ成分(チルゼパチド)の肥満症治療薬ゼップバウンドの添付文書に載っている国際共同試験では、食事と運動の指導を受けながら5mgを72週間使っても、体重が5%以上減った人は90.3%でした。約1割は5%減にも届いていないということです。薬で食欲が抑えられても、減った体重に合わせて食事を見直さなければ、薬を使っていても頭打ちは来ます。薬ごとの減り方の違いは、痩せる注射の効果を比べた記事で解説しています。
肥満症と診断され、一定の条件を満たす場合は、肥満外来などで保険を使った治療を受けられます。条件に当てはまらずに自由診療を選ぶ場合、オンライン診療の一例としてDMMオンラインクリニックでは、マンジャロを診察料なしで処方しています。2.5mgは単月12,500円、3か月まとめて買うと1か月あたり10,500円、5mgは単月22,800円で、ほかに配送料が550円かかります。使用済みのペンは原則として自治体のルールに従って処分し、クリニックに引き取ってもらう場合は、問い合わせたうえで送料を自己負担して返送します。なお、日本糖尿病学会は、糖尿病の薬をダイエット目的で使うことを推奨しないという見解を出しています。
参照した情報
- 日本人の食事摂取基準 各論 エネルギー(厚生労働省)
- Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight(Lancet, 2011/PubMed)
- ゼップバウンド皮下注 添付文書(PMDA)
- 甲状腺機能低下症(MSDマニュアル家庭版)
- GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解(日本糖尿病学会)

